学級魔女裁判 閉廷 〜処刑場の扉が開く時〜
翌日の登校場所はいつもと違う。音がよく響く場所。
放送器具も使って本格的に「学級魔女裁判」を行おうと瑠衣は清華を誘い出した。
クラスメイトにこの計画を話すと、皆心の内を語り始め、殆どの生徒から了承を得られた。
「おはよ〜!」
何も知らない被告人は、笑顔で法廷に入る。
「あれ?今日の被告人は誰?」
「今日の被告人は清華だよ」
「は?…ちょっと待って。冗談でしょ?」
「裁判長、被告人の罪状を」
そう言って瑠衣は結梨にマイクを渡す。
「被告人黒樺清華は、偽りの情報を下にクラスメイトに暴行を続け、軒原麻衣を自殺させた罪に問われています」
マイクで響いた声で、教室からぞろぞろと生徒が覗きに来る。
「ふざけないでよ!」
マイクを奪おうとした清華は、見事なまでの体制で廊下側に転んだ。
それを、集まった野次馬たちが取り囲む。
まるで、麻衣が無くなった日の清華のように。
「記録係、証拠映像を」
そう言われると、瑠衣はプロジェクターに映像を写した。
今までの魔女裁判の様子だ。
周りの人たちが、「ヤバくね?」と騒ぎ始める。
騒ぎに気がついた清華の彼氏が現れて、「お前、こういう奴だったの?」と引き気味で言う。
「違うのよ!悪いのは全部アイツらで…私はただ遊んで、…それに全部皆が、…正義のためで…」
必死に弁明する清華に、
「私の髪飾り奪ったの清華だったのね?」
「私の後輩傷つけたのは貴方だったの?」
「コイツガチのキチガイじゃね?」
という容赦のない罵声が浴びせられる。
そうして、清華の彼氏が
「ごめん、そういう人無理。今までいい人だと思ってたのに、裏切られた気分だわ」
と言った。
「皆して何なのよ!」と叫んで清華は外へ逃げ出した。
そこへ、学校へ荷物を届けに来た大型トラックが迫ってきた。
「逃さないよ?清華ちゃん」と聞き覚えのある声がした。
「ま、麻衣?!…何するの、離して!」
「ほんと、清華ちゃんったら変わってないね。裁くべきは清華ちゃんじゃない?」
「やめて、助けて!」
ただし既に助ける者など居るはずもなく無惨な姿で、紅い花を咲かせて魔女は散っていった。
これにて学級魔女裁判閉廷。
皆様もいじめの恨みにはご用心を。
学級魔女裁判は、貴方の直ぐ側で起こっているかもしれません。
学級魔女裁判 冬みかん @KoshiannhaSeigi
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