乙女ゲー世界に転生したらなぜかBL展開始まりました 推しの悪役令嬢を助けたらなぜか従者に愛されて困る王大子(俺) かくなる上は乙女ゲーBLゲーどちらも攻略します
第17話 婚約解消とフェニックス契約によるコンボ効果
第17話 婚約解消とフェニックス契約によるコンボ効果
「殿下、父がご挨拶させていただきたいと申しております。よろしければ放課後に、是非我が家においでいただきたいのですけど、ご都合はいかがですの?」
「今度お茶会を催す予定なのですけれど、是非殿下も足をお運びいただきたいのです。殿下がお出で下されば皆とても喜びますわ」
「来月私の誕生日会を催すのですけれど、殿下にも是非
婚約解消とフェニックス契約によるコンボ効果は絶大だった。
未来の王太子妃を目指す肉食令嬢たちは、自分より上位の令嬢がいない隙を狙って登校時以外教室や廊下など学園内のそこかしこで俺ことジークハルトを待ち受けており、会話のチャンスを虎視眈々と狙っていた。
その都度、サジェが令嬢の名前と爵位などをそっと耳打ちして教えてくれるため、
「機会があれば、是非」
という返答で、かろうじて切り抜けることができた。
「助かりました、サジェ」
「いえ、ジークハルト殿下はもともとこのような事に疎い方でしたので、そこまで心配されることはないかと存じます。」
なるほど。
出逢異の世界では主人公アンナと攻略対象の男子たち以外はほとんどがモブ扱いで、イラストがあるのはサジェや国王などごく一部のみだった。
当然ながら俺を取り囲む令嬢たちの顔はまったく見たことがなく、誰一人として予備知識がない。
しかし本来のジークハルトはこの世界で生活をしていたわけで、ここにいる令嬢の事をある程度知っていておかしくないと思っていたのだが、サジェから改めて言われてみると確かにゲーム中のジークハルトはそれほどマメな性格の男とは描かれていなかった。
どちらかといえばやや怠惰であり、自分の興味のある事、好きな事以外はめんどくさいと断るような行動や言動が多かったように思える。
これはもしかすると俺は真面目にやりすぎているのかもしれんと思い直した時、午前の授業の終わりを告げる鐘の音が鳴り響いた。
俺は素早く席から立ち上がると、教室を駆け抜け廊下に飛び出す。
「急ぎますよサジェ」
「かしこまりました」
さすが出来る従者サジェ、俺の意思を理解していたようで遅れる事なく付いてきていた。
呆気にとられる学生たちを尻目に、俺たちは全力で廊下を駆け抜け学生食堂に飛び込む。
まだ昼の休憩が始まったばかりなので、食堂にいる学生の姿はまばらだ。
食堂内をぐるりと見回してみると目的の人物を発見できたので、俺は二人が座っている席へと向かう。
「ジークハルト殿下、ご機嫌うるわしゅう」
俺の接近に気づいたエルフリーデはさっと立ち上がり、侯爵令嬢らしく気品に満ちた優雅な動作でお辞儀をしてくれた。
アンナという厄介な存在と未来の王太子妃という立場の重圧に苦しんでいた彼女の顔は、ゲーム中では常に険しいものだったのだが、今はとても和らいでおり見ているこちらもほっこりできるような優しい笑みを浮かべている。
推しが幸せになっていくのを眺められるってほんとに素晴らしいな。
「よお、君も来ていたのか」
隣に座るヴィルヘルムも気さくに挨拶をしてくれる。
愛し合う二人がこのまま無事に学園を卒業し結婚するまでを見届けられれば、とりあえず俺がヘカーテにこの世界に呼び出された目的は達成されるだろう。
その最大の障害であり俺と同じクラスにいるアンナはというと、体調不良のため学校を欠席すると連絡があったそうで、今後どのように動くつもりなのか現時点では不明だ。
さすがにあれだけの失態を演じた以上ぬけぬけと学校に顔を出せたら大した奴だとは思っていたが、さすがに本人のプライドが許さなかったらしい。
「お食事中、お邪魔して申し訳ありません。実は折り入ってお二人に話があってまいりました」
二人はジークハルトと別のクラスなので、学園内ではやや接点を持ちにくい。
しかしゲームでは昼間の移動先に学生食堂を選ぶと高確率で出逢えることを思い出した俺は、他の令嬢たちに絡まれないように急いでここに移動したのだが、正解だったようだ。
「お話、ですか?」
「ええ、来月学園で行われる実技演習の課題ですが私たちでパーティーを組みませんか?」
乙女ゲー世界に転生したらなぜかBL展開始まりました 推しの悪役令嬢を助けたらなぜか従者に愛されて困る王大子(俺) かくなる上は乙女ゲーBLゲーどちらも攻略します 曲威綱重 @magaitsunashige
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