(いみエモ話)「ゆるバトル、釣り人高齢者VS深海魚」~平和な戦いになる予感~

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 ミステリーじゃないようなミステリー、はじまりました。信じる心は、本当に、救われるのか?

  (いみエモ話)

 意味がわかると、エモイ話。

 あなたは、この話の意味がわかりますか?

   ☆

 釣り人のおじいちゃんは、頭にきていた。

 ねらっている魚が、さっぱり、つれなくなったからだ。

 「深海魚が、悪いんじゃ!あいつらには、がまんならん!」

 海辺で聞いたラジオのニュースが、怒りの犯人。

 「…深海魚が、進化しています。通常は、水圧の関係で、浅い海には住めない深海魚たちですが、その身体が異常に丈夫になりました。住むエリアを、変化させているようなのです。それとは反対に、浅い海にしか住めなかった魚たちが、深海に潜るようになってきています」

 これを聞いて、おじいちゃんは、怒っていたらしい。

 孫たちに、頼みごとをする。

 「なあ、お願いがある」

 「何、じいじ?」

 「深海魚たちを、からかってほしい」

 「なんで?」

 「強くて、生意気だ。頭にくる」

 「ふうん」

 「何とか、したいんじゃ」

 「うん、わかった」

 「頼んだぞ」

 「じゃあ、じいじ?金ちょうだい」

 こら。

 本当に強くて生意気なのは、人間じゃないのか?

 仕方なく、おじいちゃんが、魚たちを挑発しはじめた。

 「おい、深海魚ども!もっと、浅い海にきてみろ!ここは、良いぞ?青い空、白い雲の下。海面の青さは、太陽の光に照らされておる。深い場所ばかりにいないで、上がってこい!」

 「…何だと?人間の、クセに!」

 「深海魚たち!勝負じゃ!お前たちとわしら釣り人が戦い、勝ったほうが、この海の王となることにしようではないか!」

 「言ったね、人間?オヤジにも、言われたことがないのに!」

 「言って、何が悪いか!」

 深海魚たちは、釣り人のおじいちゃんに、テレパシーを送り続ける。

 「…わかったよ。その勝負、受けて立つ。釣り人よ!深海に、やってこい!」

 魚と人間のプライドをかけた戦いが、はじまった!

 「高齢者の釣り人VS深海魚たち」

 バトル、スタート!

 が…。

 時間がたつほど、勝負にならず。

 たまには、こういう戦いがあっても良いんじゃないか?

 たまには、ね…。


  (この話の意味)

 おじいちゃんVS魚…。

 「認知症」と「小さい脳」の、戦い。

 勝負にならないのも、当然。

 「深海魚よ!わしらのいる陸に、やってこい!」

 人間がそう言っても、深海魚は、基本、上がってこないだろう。

 「釣り人よ!深海に、やってこい!」

 深海魚がそう言っても、人間は、基本、深海にはいかないだろう。

 特に、高齢者たちには、認知症が広まっていた。

 「戦う」

 その言葉を忘れていく、おじいちゃん。

 魚もまた、同じ。

 魚たちの脳は、小さすぎた。

 「戦う」

 その言葉があること自体、魚たちも、忘れていたのである!

 時間がたつほど、お互いに、戦いが忘れられていくだけ。

 と、いうわけで…。

 「おじいちゃんVS魚」

 それは、こんなバトルでもある。

 「認知症VS魚の小さな脳」

 ひでぶ!

 あべし!

 たわば!

 「…おや、わしは、どうして釣りをして怒っておったのかのう?」

 「俺は、今、何をしようとしていたんだ?…忘れた。さあ。もっと、深く泳ごう」

 お前たちは、もう、死んでいる。

 紛争や戦争の終わらない世界で、我々は、何を思えば良い?

 戦いを忘れる脳が平和を生むのなら、物忘れの多い高齢者の増えた世界中が、もっと平和であって良いはずなんだけれどなあ。

 でも、そうは上手くいかない日々の、リアル。

 「僕たちは、戦いたくない世代なんで!」

 過保護な世代が、言いそう。

 だったら、平和を作ってみろよ!

 エモいなあ。




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