第39話 その後

 あれから一年が経った。

 ダンジョン・サバイブは変わらず運営しているし、軍事利用もされていない。あの男が懸念していたことは、何1つとして起きていない。


「今日も掲示板は大騒ぎだな」

「そ、そ、そうだね。た、楽しそうだね」

「ふふ、今日はどんなイベントがあるのかしらね」


 戦いが終わった後、俺たちの元に予期せぬメッセージが届いた。その送り主は、このアプリの開発者だった。彼らは俺たちに対し、アプリを改善するための意見や要望を求めてきた。


 俺は少し考えた後、要望欄に「イベントを増やしてほしい」と簡潔に記入して送信した。すると、驚くべきことに、翌日からアプリには様々な新しいイベントが次々と登場し始めた。この変化には、俺も他のユーザーも新たな興奮と期待を感じていた。


 それぞれのイベントは、俺たちに新しい挑戦と驚きを提供し、アプリの魅力を一層高めていった。開発者の迅速な反応と、それに伴うアプリの進化に、俺は感謝の気持ちを禁じ得なかった。


「今日はどんなイベントだったっけ?」

「え、えっと……『ナスビ系の魔物を10匹討伐』だ、だね」

「……相変わらず変なイベントね。昨日は『カボチャ系の魔物を10匹討伐』だったし、開発者はビーガンなのかしら?」

「何はともあれ、報酬が美味しいからな。着手しない手はないよな」


 これらのイベントをクリアするたび、俺たちプレイヤーはレアなスキルや貴重な武具を手に入れることができた。それらの報酬は非常に魅力的で、俺たちの冒険心を刺激するものだった。まるで宝探しのように、新しいイベントを発見する度に、私たちの期待は高まる。


 俺たちの間では、「次はどんなレアアイテムが手に入るだろう?」という話題で持ちきりだった。それぞれのイベントが、ただのゲームの一部ではなく、俺たちの共通の冒険となっていたのだ。


 この新たなイベントの波は、俺たちプレイヤーにとって、ただの楽しみ以上のものであった。それは、新しい挑戦と、共に喜びを分かち合う仲間たちとの絆を深める機会となっていた。


「な、ナスビ……天ぷらが好きだよ!!」

「また揚げ物……太るわよ?」

「す、少し、ぽ、ぽっちゃりするだけだよ!!」

「……雨凛、体重何キロなのよ?」

「……り、り、りんご3つ分かな?」

「ふーん、随分と大きいりんごなのね!!」

「や、や、やめてよ!!」


 詩葉は雨凛の腹肉を摘み出した。

 ブニッとつままれた肉は、電話帳ほどの分厚さを誇る。いや……ちょっと太ましすぎないか?


 大きな乳を揺らして、詩葉を振り解こうとする雨凛。その姿はあまりにも蠱惑的であり……思わず前屈みになってしまう。エッチがすぎるだろ。


「アンタね……このままだとテレビに出るようなサイズになるわよ?」

「ちょ、ちょ、ちょっとぽっちゃりしているくらいが、ちょ、ちょうどいいんだよ!! ね、ねぇ!! し、志苑くん!!」

「ん、あ、あぁ」


 確かに俺は鶏ガラみたいにガリガリの女よりも、ぽっちゃりしている女の方が好きだ。だがあまりに肥えているのは……健康的に心配になる。


「はぁ……運動も兼ねて、さっさとダンジョンに挑むわよ」

「え、えへへ。た、楽しみだね!!」

「あぁ、そうだな」


 今日も今日とて、俺たちはダンジョンに挑む。

 いつものように、非日常の青春を送る。

 楽しく愉快な、友達と一緒に。

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謎のアプリのおかげでダンジョンに挑めるようになりましたが、どうやらレベルアップできるのは俺だけみたいです 志鷹 志紀 @ShitakaShiki

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