第6話
「待たせた。されとて、タザールの使者がなんのようだろうか?」
とりあえずそれっぽく話してみる。
タザールの使者達はジロジロとこちらを見てわっと笑いだした。
「こんな奴が精霊王だと?笑い話にも程があるw」
「ほれ!怪我したくなかったらさっさと捜索許可をだせ」
私は全力で冷静を装った。 本当は喚き散らかしてやりたかったけれど。
「私を精霊王と見れないなら結構、お引き取り願おうか」
またもや使者達が笑い出す。
そのうちの1人が私に向かって剣を抜き、軽く振って見せた。
「俺たちはタザール王国の騎士だぞ?そんな生意気な口聞いていいのか?痛い目見るぞ、ガキ」
瞬間に私は剣を魔法で作り出し、剣を振って見せた奴の脇腹に突き刺した。
バタン!と奴が倒れた。
笑いに包まれていた使者達は真顔になり剣を抜く。
「立場を弁えろ。この豚供が」
怒りが制御できなくなってしまった、こいつらが下品な笑い声をおっ立てているこの瞬間にも、駿は苦しんでいるというのに
使者達が一斉にこちらにかかってきた。
そっちから手を出したんだ、正当防衛だろう。
先頭にいた3人を一気に切りつけ、蹴飛ばす。
足の腱を切り、腕を踏んだ。
ボキリという音と絶叫が響いた。
「轟け!雷豪!」
雷が使者5人に命中する。
「炎よ!ひれ伏せ!」
かけられた炎魔法を盾魔法で防ぎ、禁忌魔法をお見舞いして差し上げた。
「闇は燃え、光は届かん」
触手のように魔法を唸らせ、牽制させる。
その頃には、私は理性を取り戻していた。
攻撃を一旦やめ、拡声魔法を使って叫んだ。
「話し合いに応じるのであれば、攻撃はやめる」
その時、使者の間からチラッとピンク髪の人影が見えた。
タザール王国にいた時に騎士もどきとの喧嘩を止めた奴だ
「わかった!話し合いをうけいれ…」
「誰が話し合うか!このクソガキ!」
ドブカスおじさんがピンクの話を遮りこちらに切り掛かってくる。
「凍れ」
本当に一瞬だった。ものすごい量の氷が使者達に襲い掛かり身動きを取れなくする。
「精霊王になんたる無礼か、どう詫びるつもりだ」
(か、かっけぇぇ。精霊王より活躍してんじゃん!)
「申し訳ない、この愚弟供の件はどうか勘弁してやってくれないだろうか、話し合いをしたい」
ピンク髪の人が話し合いを申し出たおかげで、争いは幕を閉じた。
「〜と、言うことなんだ。どうか精霊の森への捜索を許可していただけないだろうか?」
ピンク髪…(名前はホフマンというらしい。)から説明を受け、捜索許可を懇願された。
「私の話もよく聞かずに戦いを仕掛けてきた相手を信用して森に入らせろと?正気ではないな」
ホフマンは項垂れて見せた。
「その件については、本当に申し訳ない。彼らは即刻騎士団から解雇しよう」
ここで引いて見せれば終わりだ。
強気な態度で一歩も隙を見せてはいけない。
「ホフマン、私はその信用してない相手として君も含めているんだ。何故私との戦いが起こった時真っ先に止めなかった?まるで自分ばかり正しいかのような言い方をして。」
ホフマンが何かを喋ろうとするが隙は与えない。
「君たちタザールの国使者は信用できない。どうしても捜索しろと言うのであれば、私達精霊が探そう」
その後もホフマンから代行案を出され続けたが、断固拒否の姿勢を続けると。無駄だとわかったのか、ホフマン達はタザールに帰っていった。
変身魔法を解き、地面に寝っ転がる。
「あー、疲れた。とりあえずはこれでいいよね」
アイも変身魔法を解き、隣に横たわった。
「お疲れのところ、申し訳ないけど。あとで色々説明してよね、アマノガワが精霊王だったいうの初耳なんですけど」
あとからアイには質問攻めされることだろう。
私にはそんな性癖ないんだけどなぁ。
「アマノガワ……悪いけど休憩終了、早く駿のとこ行かないと。」
正直言うと駿のことはものすごぉく忘れてた。
―――――――――
「駿、大丈夫?」
一様、駿の容態は落ち着いたようだ。
スゥスゥと寝息を立てて寝ている。
「今のところは落ち着きました」
光の大精霊はそういうと、見回りをしてきます、と一言残して消えていった。
「よ、良かった?」
「助かったんだからよかった…だよな」
その場が静寂になる。
その空気を切り裂くように石の大精霊が現れた。
「頼まれていた資料、集めてきました」
「……盗んでないよね?」
そっと聞いてみる。なんか石の大精霊はいつも気難しそうな顔してるから怖いねん…
「タザール王国から待ってきた資料は盗みました。ほかの資料はちゃんと借りるなりなんなりしましたよ」
タザールからは盗んだのか…
みんな気まずそうな顔をしている。
「ま、とりあえず見てみようよ」
空気を変えるようにアイが資料の一部を読み始めた。
私もその後に続き資料に手を出す。
何人かがそうして資料を読み始めた。
少し空気が変わってきたのを見て資料に目を落とす。
【異世界人について】
『異世界人、または異界人はある日、召喚または偶然この地に舞い降り、加護を与えるか厄災をふりまくという。』
次のページをめくる
『500年の間に一度、召喚が行われた。その時の異世界人は加護を与えることはなく。そのまま姿をくらました。』
やっぱり逃げる人がほとんどなんだな。
『逃亡を防ぐべく、我々は呪いを開発し異世界人を召喚するたびに人数分呪いをかけた』
『逃亡をする異世界人はおそらく、禁忌の呪いの情報を手に入れようと情報を集めるだろう。この本を開いた君のように』
資料を投げ捨てたが、もう遅かった。
『私は貴方に絡みつく』
私に2個目の呪いがかかった瞬間だった。
続く
クラスごと異世界に召喚されたけど、私達自力で元の世界に帰ります @onigokko0309
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