時は明治、廃刀令により刀が不要となった時代。
ただしそれは、幕府が倒れ武士の時代でなくなったから――ではなく、異世界との接触によってもたらされた技術「魔法」により剣が劣るものとなったから。
遠間から自在に火矢を放てる技術の前には刀は無力であった。
かつての武士は誰も彼もが剣を杖に持ち替え、異人を仰ぎ魔法の習得に精を出す。
そんな時代に、追放された三男坊、生まれつき魔法が使えぬ役立たず。
何もない己の身の上に、だがただひたすら剣にを鍛えた男の物語。
無詠唱魔術より早く間合いを詰め斬って捨てる――その剣の行く先に、目が離せない。