新しい宗派を考えてみる件

新座遊

なんかこう、新しい宗教作れないものかな~

仏教について、何も知らない。もちろん、仏教に限らず、神道や一神教にも無知である。果たしてそれでいいのか。激動の時代、最終的にすがりつくべきは宗教なのではないか。


と、初夢で警告を受けたので、ちょっと考えてみる。


仏教と言えば、僕の中では、手塚治虫先生の名作「ブッダ」を読んでなんとなくわかったような気になっているだけで、日本にどれだけの宗派があり、それぞれ何を言っているのかを詳しく調べたことはない。

小学校から高校までに、歴史の教科書でなんか見かけたな、くらいのものであるし、宗教は阿片だ、というイデオロギーに染まっていた高校時代には、忌避すべき存在としか思っていなかった。

が、大学に入るころから、そのイデオロギーも宗教の一種じゃね?と気づき、あくまでも反証可能性をもつ科学だけが意味を持つ、などと思ったりもしていた。


とはいえ、たぶん僕も仏教徒にカウントされているはずで、事実、親の葬式は浄土宗のお坊さんに来ていただいた。浄土宗と浄土真宗の違いも判らないけどね。


仏教に反証可能性があるか、と改めてその時考えてみたが、そもそも仏教の教えを知らないので検証しようがない。本気で検証するには仏門に入るくらいの意気込みが必要だろうけど、そんな気にもならない。

しかしながら、最近の物理学の動向を知ったかぶると、量子力学やらなにやらで、仏教的世界観に近い議論が行われているとかいないとか。色即是空は量子の二重性を意味している。いや知らんけど。


そんなわけで既存の宗派と被るのかもしれないが新しい教えをでっちあげたい。

内容はおいおい考えるとして、宗派名は、「量子宗」である。


なんとなく現代物理学の成果を反映してそうな名前である。現代物理学を熟知しているわけではないのだが、こういうのはイメージが重要。

これだけ科学が発展しているのだから、それらの世界観を宗教的教えに取り入れたってバチは当たらないだろう。


なぜ人間が存在しているのか、とか、死んだらどうなるとか、そのような疑問は科学が解決しない問題設定なのだが、宇宙の成り立ちや物質の成り立ちを知れば、なんらかの仮説を立てることができるんじゃなかろうか。それはあくまでも仮説であって、信仰の根拠にはならないが、こういうのは断言することに意味がある。仮説を断言って、ほぼインチキであるが、宗教の良さって断言だよね?

存在すること、存在することで苦しむこと、に耐えられない人を救うことが宗教って解釈をすると、反証可能性のある科学では、救われないタイプの人も大勢いるんだろうと想像する。人は断言を待っているのである。と断言する。


生成AIの発展に伴って、人間の認知についても新しい知見が出てきているような気がする。意識とは何かってのはまだ分かってないが、脳のニューロンネットワークの挙動から今後判明する事実も出てくるだろう。それを新規に取り込む宗教にしよう。


情報学のエントロピーと熱力学のエントロピーが実は融合しているらしいことも最近知った。つまり世界は情報である、という極論を断言できそうな雰囲気である。

とすれば、メタバースなんかの電脳世界も、実世界と同じような扱いができる世の中になるかも知れない。まあこれは昔SF映画で思いっきり表現されていた世界観だが、それを宗教的解釈に取り入れる。


量子力学的なタームを引用すると、多世界解釈とかで何か新しい宗教解釈ができそうだし、宇宙論的なタームを引用すると、マルチバース宇宙なんてのも仏教的に親和性が高そうであろう。これも採用。


まだまだ取り入れたい科学的知見はあるが、まずはここまでで教義を設定できるかな。


生きるとは物質世界で情報を再現するための営みであり、情報エントロピーを物質の動的平衡状態で保持し続けることが生きるということである。エントロピー増大に負けると物質世界での情報保持が出来なくなるが、それは単にその物質世界での死であり、情報それ自体が消えるわけではない。同じような条件の多世界、マルチバースでは、ある確率で同じ情報を再現することも確率論的にはあり得るので、どこかの世界では、自分は死んでない、もしくは再生する。これは、ほぼ無限とも言える宇宙で永遠に繰り返される情報保持であり、この世界で死んでも、どこかでは生きているのである。


それを地獄と呼ぶ。







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