電子世界の勇者様

カイシュウ

第1話

 仕事帰り、街の街灯が揺れる中、電子世界でモンスターを倒す。


 それが俺の使命であり、独自性オリジナリティなのだ。俺の周りにはたくさんの仲間パーティーもいる。なんの心配もない。


 モンスターが攻撃してくる、ビビる必要はない。ここは電子世界であり、相手は一人だけなんだから。

 僕らは魔法の言葉を唱え、モンスターに反撃する。相手が何か唱えているが、聞こえない、どうせまた魔法を使おうとしてるのだろう。


 まず、相手の防御を剥がす。防御を剥がすことでモンスターの余裕を奪い、行動を縛るためだ。


 罠を張る。


 見事に引っかかってくれた。相手の防御が剥がれる、今回の奴はどうな醜態を晒すんだろうか。


 このゲームのリアルだ、現実と同じだ。敵がリアルと同じ行動をする。ピンチになれば逃げたり、必死の反撃をしたりする。


 その行動モーションが僕をより一層興奮させる、僕の仲間達も、優越感に似た魅力に取り憑かれているんだろう。


 モンスターが弱っていく、僕らの魔法が効き始めた。弱体化の魔法だ、相手にダメージを与えると弱体化を付与するもの、これは奴には効果バツグンだった。


 相手が鳴きわめく。ギャーギャーうるさい、もう反撃もしてこないのか…。普通のゲームだったら死ぬまで攻撃してくるけど、リアルゲームだからしょうがないな。


 この部分だけ直してくれたら最高の遊びゲームなのに…。


 ただ、つまらないという理由で悪を放置することはできない、みんなも同じ意見のようだ。いつものように即死魔法を唱える、万が一相手に逃げられたら困るからな。


「死ねよ、社会のゴミが!!!」


 モンスターの体が崩壊し始める、社会のごみがまた一つ掃除できた。自分が正義であると実感できる。


 学生時代に俺をいじめてきたやつ、パワハラしてくる上司、疎んでくる母親、フってきた彼女。


 そいつらの同類をまた一人殺した。


 ああ…俺は間違ってない…こいつらが悪だったんだな。





☆ ☆ ☆





「高校生〇〇◆さんへの誹謗中傷で誹謗中傷グループのリーダーであった◆◯□さんの逮捕が決まりました。高校生の〇〇◆さんが自殺した後の出来事です。」




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