ふたり目エピローグ

「あなたは・・・このような力をどのように御しているのですか」


は?


ああ、なぜ自由な子供の精神へと戻らないのかってコトか?


「御して等おらんよ。ここに来る前・・・通りがかった街、ここと同じような城塞都市だったかな・・・を、稚気により窪地へと変えてしまったし」


苦い思い出だ。


「スキオの消滅はおまえ・・・あなたが関わっていたのか?!」


「おまえで結構だ。君の方が政治的にも人間的にも高いところに居り遥かに重い責任を担って・・・ああ、わたしの口調の方が問題だな」


つい先ほど慢心を突かれ(物理)途方もない恥をかいたばかりなのになんなのだろうかこの二重三重のやらかしは。


ちょうスゴイちから、などという稚拙なものでこうまで自然に他人を見下すようになってしまうとは・・・


立ち上がる。


「大変失礼いたしました、閣下」


握った右手を胸の前へ置く。


なんかのアニメで見た略礼・・・軍礼かな?なんかわき役に立礼を咎められてたシーンだったような。


これまでの無礼平に御容赦を、とか続けようとしたがコレって下手から言って大丈夫なのか?要求なのでは?と躊躇している内に男が口を開いた。



「その力の前では礼だの正邪だの、人の作った世の理など子供の遊びのようなものではないですか!なぜ世界を握ろうとなさらないのです」


んー・・・あ、適性試験かコレは。


「あなたも見ていたでしょう、鼻高々に慢心しツケ上がったこれまでのわたしの態度を。私が世界・・・ここら一帯にある諸侯の領袖に収まったとて、あなたならいいように操る算段などいくらでも思いつくのではないですか?」


前世でも挑発的軍事行動で村どころか街丸々虐殺してたりしたしな。

あの酸鼻極まる陵虐的殺戮の数々・・・ああ、考えてはいけない!人間なんて皆殺しにしたくなってしまう・・・


「街一つ灰にして気付いたのですよ。私程度に勤まるのは、精々かわいそうな人間に施しをして自己満足を得ることぐらいであると」


・・・あ!

なぜ聞かれもしない自分の抱負を語ってしまうのか・・・もはや視線すら合わせられず、床に目を落とし恥じ俯いてしまう。



しばらくいたたまれない間があり、男は言った。



「・・・わかった。ならば、私がお前の主人となろう」


「え、いやそれはいらないです」



「なんでだよ!」



?・・・ああ、気がありそうなのにいつまでも手を出してこない異性へのアプローチ的な要請と思われてしまったのか。


「いや、ほんと申し訳ない。自分語りまで深く意図を探られるほど意識されるなんて久々すぎてなかなか対人会話の要領が思い出せないのですよ」


「たしかに・・・いや、それほどの力をもちながら危険ではないのか」


「・・・まぁ、街ひとつ消えましたからね」


男は吹き出し、わたしも釣られたように笑う。


形だけでも会話を続けていると、人心地というのだろうか、前世の常識を思い出し益体もない語り様を駆使できるようになってきた。



落ち着くと私たちは二人外の酒場へと赴き、それなりの酒を飲んで別れた。


異世界の風俗なのか、店内で凌辱ショーが始まってしまい興がそがれはしたが、なかなか有意義な時間であったと満足し店をでたのであった。


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回復魔法でうんたらかんたら プリオケ爺 @hanagehanage

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