斧使いの病弱少女
ユキ
第1話 旅立つ病弱少女
その日は、どう考えたって旅立ちには不向きな天気でした。
普段、部屋の中で聞くものと違う、脳に響くような雨音。既に頭痛がしています。
…でも、今日は1年前に自らが決めた旅立ちの日。これを逃すと次の機会は、1年後になるでしょう。
鉛の詰まったような体を何とか動かし、自分から濡れに出る事に抵抗を感じつつ、一歩、踏み出します。
これで私は水も滴るいい女と言えるでしょう。ええ、間違いありません。
この家から目的地の「ハジマリの町」まで、歩けば1週間は掛かるでしょう。インドア人間には酷な道のりです。
が…私は頭脳派なので、秘策があります。
いつも持ち歩いている大斧。無骨な私の相棒を、思い切り地面に打ちつける。反動で空に吹っ飛ばされます。
ああ、もしもこの光景を目にする者がいれば空を舞う天使と見紛った事でしょう。人のいない寂れた町で助かりました。
これであと10分程で「ハジマリの町」に着くでしょう。
さて、初めての旅で、私の体力は持つのでしょうか。不安で胸が張り裂けそうです。
斧使いの病弱少女 ユキ @yukimimoti
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。斧使いの病弱少女の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます