文字数縛りで生じた妙

作者様は多分、書き込めばどれだけでも書き込める文章力があるのに、1万字にこの物語を押し込めた。実は答え合わせめいたものが存在するが、それを参照するのは野暮だと思う。

寝取られて嵌められた主人公がやれる範囲で失地回復を試みるのが痛々しくも好ましい。未練が捨てきれないのも好ましい。

物語はきっちりクローズを匂わせているけれど、どっこい終わらない終われない不穏な余韻も残っている気がする。

語れる量の不自由がブスブスと発酵するスキマを残したように思える。

未練が残るような容姿の元カノと、一番量を語った元カノ母の限られた中での人物造形がお見事。

二人はヘイトの的だろうけど、得体の知れない魅力もあると思った。