第3話 待ちきれない染井さん……?

「気をつけ、礼。さよならー!」

「さよならー」


 今日も長い長い1日が終わった。学業に励み、友達とべらべら喋り。


 時にはちょっとノリで突っ走ることもあるけど、そこは高校生。流石にラインを見極めて接す。


「部活かぁ……だるいなぁ……」

「なーなー、ラーメン食べに行こうぜ?」


 などなど、教室内では放課後の過ごし方について様々な話が飛び交っている。


「翔輝、どっか行こーぜ」


 僕も例外ではなく、友達がお誘いをしてくれる。

 まぁ部活に入ってないのが僕くらい……っていうのもある? いやないか。


 いつもなら、この手のお誘いは結構な割合で承諾する。家に帰ってもやることなんて少ないし。そもそも友達と過ごしてたほうが楽しいし。


 仮面を貼る時間が長くなるなんてことくらい、どうってことないし。


 けど今日は違う。昨日、偶然にも見つけてしまって猫のため。昨日、偶然にも話しかけてしまった女子との約束のため。


「いや悪い……俺は今日予定があって……」

「お?? ようやくイケメン翔輝くんにも彼女ができたか……」


 こいつ――沢村玲王さわむられおは、僕に彼女ができることを熱望している。


 1回なぜかと聞いたことがあったのだが――


『え? いやぁ……翔輝に彼女ができなかったら俺には一生彼女できなさそうじゃん?』


 というなんとも自分本意な答えが帰ってきたのだ。


 ちなみに玲王は意外と女子からの好感度が高いらしい。本人は気づいていないみたいだからこんな話をしているのだろうが。


「ちげぇよ、普通に予定だ予定。猫飼い始めることになってな……」


 嘘は、ついてない。……隠してることはあるけど。


「ほぉ……今度猫の鑑賞会、してもいいか?」

「というか、猫の鑑賞会なら春川さんも来てくれるのでは……!?」

「「それはねぇ!」」


 春川さんに支配(?)されてしまっている夏樹に対しての僕たち2人のツッコミが重なる。


 こいつ……僕なんかより全然かっこいいのに春川さんにご執心だからな……。


「まぁいいや、猫見に行ってもいいよな??」


 改めて、玲王が僕に問いかける。


 正直、この2人であれば全然いいし、何度も僕の家に呼んだことあるし……いいと思う。


「いいけど? ……春川さんは来ねぇぞ」

「ま、普通に遊ぶだけでもいいんじゃねぇの」

「じゃ、それで。玲王……俺達二人でどっか行くかぁ」

「だな」


 ここで一旦会話を切り上げる。玲王と夏樹は二人で遊びに行くみたいだ。まぁ楽しんでくれたらいい。


 僕はまず――ポケットの中でなっているスマホの通知を鎮めるところから始めないとな。


『柚菜:まだ終わんないの?』

『柚菜:早くぅ……!』


 スマホをのぞいてみると、染井からの催促のメッセージが多数。

 少しくらい待ってくれても……いや、僕が話しすぎたのが悪いか……。


 拗ねている染井の顔が浮かぶ。普段の笑わないそれとは違い、僕の前でだけ見せてくれたあの笑顔が、少し不貞腐れたような。


 知っているのは僕だけ、か。不思議と悪い気はしないな。


 あと、これは連絡先を交換したあとで分かったことなのだが、染井の下の名前は『柚菜ゆずな』と読むらしい。

 漢字は知っていたが、読み方は知らなかったな。


 染井柚菜――いい名前じゃないか。


『翔輝:今終わったよ、校門出たとこだっけ?』

『柚菜:……いやまぁもうちょっと遠くでもいいけど? バレたら面倒だし』


 たしかにな……。そもそも今日は猫のことを教えてもらうために会うだけだし。


 その途中にクラスメイトにあって妙な詮索をされたら……。まぁめんどくさいことになるのは間違いない。


『翔輝:じゃあ……現地集合ってことでどう?』


 今回僕たちが行くのは近くのホームセンター。染井の家がどこにあるのかは知らないが、まぁ近いらしい。


 それにそこならクラスメイトも来ないだろう。……うん、多分。


『柚菜:りょーかい』


 ということで、とりあえず近所のホームセンターに向かうことになりました。


 ……それにしても。を、僕だけが持ってるってどうなんだろうな……。






―――――――






はいこんにちは。

なんか昨日めっちゃ伸びた反動なのかどうか知りませんが今日全く伸びなくてこのままだと死が近いです。

具体的には昨日86ポイントだったのに今日13ポイントです。

もうやばいですどうか力をくださいお願いします。

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一人称を『僕』にしたい『俺』の仮面を剥がしていく、光を纏う少女との話。 如月ちょこ @tyoko_san_dayo0131

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