終わり
エピローグ
逃げ延びたオレとマサキは、一度旧拠点にて集合して今後について話し合った。
そこでマサキは、表の世界での生活を止めることを宣言した。これには多少驚いたが、どうやら話を聞くに、商会の裏稼業で既に片足突っ込んでいたみたいだ。
それもあってか、入りは難しくなくどんどん成長していき、数日もすれば裏の世界では名の知れた新興勢力になっていた。
これまで築いた商会の情報網や各組織との関係値、更には部下の魔法強化によって侵入者、クロノの居場所も逐一分かるようになったとか。
その魔法は教えてくれなかったが、それはお互い様なため無理には聞かない。
マサキ自身も成長を遂げ、確実にクロノを殺せるレベルまで到達したという。
その結果、英雄の相手をオレがすることになったが、それはまあ、許すことにした。
それに、成長したのはマサキだけではない。
オレの計画も、今回のことがきっかけで更にスピードを上げて進めた。
まずゴブリンの領域拡大。
これは地下を進むことで見つかることを避け、地道に街を越え草原を越えて広げていった。
後は送り込んだ人間たち。
彼らは小売店や役所、ルーキー冒険者に商会の会長と、能力に応じて様々な職種に就いて情報を集めた。
中には一般人と結婚して子供を設けた者たちもおり、情報網は拡大した。
子どもの流行、奥さんたちの井戸端会議、職場での愚痴話、冒険者からの噂。などなど。
それらは多岐に渡り、報告を書かせた紙を回収する専用部隊まで発足させた。
やはりイベントがあると進み具合が違う。
報告ではクロノも自身を強化しており、第五王女には何もすることはなくなったらしい。
来る日のために各々が自己強化に励む。
その日はもうそこまで来ているのだろう。
少しの不安と興奮が徐々に大きくなっているのを感じる。
初めは、ただマサキと世界を遊び尽くす。そんな感じだったが、今では共通の敵を前に準備し、その時を待っている。
結末は分からないが、まだ体験したことない面白いものになりそうだ。
オレはそう確信しながら、今日も鍛練を繰り返す――――。
仮想の彼方〜剣と魔法で友情を〜1 アライキアラ @araki0033
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