彼らを“子供”と呼ぶとき、すでに、私たちと彼らとのあいだには、深い深い隔たりがある。それは年齢か、時間か、それとも別のなにかなのか……。その隔たりにひそむモノを、作者氏ならではのぞくりとする幕切れで仕上げた五品。さあ、あの頃に仕舞いこまれたものを、引っ張り出してみましょう……。
何もない空間を指差す子供というのは良く聞きますが、そんな未知なる何かを予感させる短編集です。それぞれの話はどれも短くサクッと読めますが、結構ゾクッとくる怖さがあります。苦手な人にはおすすめできませんが、耐性のある方にはぜひ!自分も子供だったことがあるはずなのに、大人になってから子供のこうした奇怪な行動を見るとどうしても怖くなってしまう。もしかしたら、あなたも子供の頃に同じようなことをしていたのかも……。
何故「こども」とは、これほど恐ろしいのだろう?無垢ゆえか、はたまた内包する邪悪のなせるわざなのか…その答えの一端が、本作を読めば垣間見えるかもしれません。怖いもの見たさ?物見遊山?ホラー好きも怖いの苦手さんも、ちょっと覗いてみなしゃんせ。