本来、文字の羅列で完結する小説という創作物に対して、色を乗せるという難易度の高い試み。
それを見事に成し遂げ、淀み無く、溢れることなく、完璧に「調律」された稀有な作品です。
ただの色ではなくて、和色を用いた心遣いが、読者としては嬉しかった。どこかで目にしていたであろう色を、新たに和のテイストで知ることができたのは、作品を読み進めて行く上での楽しみでもあった。
楽しい、と思える気持ち。これもまた小説を読んでいて覚える感覚としては稀有なことだと思う。
カクヨムコンの優秀作はコミカライズされるとあるので、この作品が絵となったとき、そこに色が乗るとき、どんな作品になるのか見てみたい。
そうなることを心の底から願う作品です。