優しさと強さを併せ持つ大和撫子!

本作は中華ファンタジーにて、この春に10冊目の本を刊行された朝田小夏先生の大正ロマンファンタジーという変わり種の作品です。しかしながら、その時代の風俗、品物を使い、その時代の情景をいきいきと描きだす文章は、朝田先生ならではのもの。
本作も文明開化に華やかな帝都の上流階級、その影に置き去りにされた古き日本の情景をありのままに描きだし、主人公たちキャラクターがその風景のなかをところ狭しと動く作品となっております。

その物語の主人公、珠子は振り袖に袴姿で女学校に通うハイカラさん。一見してなおやかな優しさのなかに恥じらいを見せる少女でありながらも、その実は真の強さ持った大和撫子です。この日の学校の帰り、暴漢に襲われたことから許嫁である曲(まがり)に助けられ、忘れさせられた過去が徐々に蘇ることから、物語は動きだします。
悪漢との交戦に傷ついた曲を助けながらの逃避行、そして手を取り合い決着をつけるために帝都へと物語は舞台を変え、息を継ぐ間もない戦いが続きます。しかしそのなかでも優しさと強さを併せ持つヒロインは、やはり朝田先生ならではの作品です。
どうぞ御一読ください!