終わり

「先輩、真面目な話です」


 熾十の真面目な視線に俺はたじろいでしまう。

 普段は調子乗ってるがそれがなければコイツはほんとにイケメンなんだよなぁ……


「俺、先輩のことがほんとに好きなんです!」


 知ってる、それなりに本気なことも。この数ヶ月間付き纏われ続けたからな……でも───


「待ってください!」


 俺が答えを告げようとしたとき、それを遮るように出水が俺と熾十の間に割って入った。それに俺も恐らく熾十も驚く。


「わ、私も……好きです!」


 ???


 一瞬というか今も何を言われたか理解出来ない……俺のことを好き? 誰が……出水が?!


「あの日、声を掛けてくれた時、ほんとに嬉しくて」


 あの日ってもしかして初めて話した日のことか。あれはただ予知夢的何かがあっただけで……と弁解したいが出水が更に続けたので完全にタイミングを逃す。


「それから一緒にいるようになって、それで段々好きになっていきました……」


 おぉ、具体的だな……確かに出水は可愛いと思う。特にサラサラの黒髪はすっげー綺麗だし……そして何より俺は恋愛対象は女性だ。んん、断る理由はない。


「上州より好きな自信あります」


 と熾十の名前が出たので熾十の方を見て驚いた。間に出水がいたからさっきまで見えなかったが熾十は泣きそうな顔していた。


「ど、どした?」


 普段心配なんてしない俺がそう聞くくらいだ。


「い、いや……河原さんと話す時の方が先輩嬉しそうだなぁって」


 いやいや女子と話す方が嬉しいだろ、と俺が言う前に熾十は背を向けて歩き出す。さっきから俺、喋りたいこと喋らせてもらなさすぎだろ……ってそうじゃなくて


「待てよ!」

「触らないでください! 河原さんと付き合えば良いでしょう?!」


 俺が伸ばした手を熾十は振り払う。弾かれた手が少しヒリヒリするがそれより心がダメージを受ける。


 初めて拒否られたこと、なにより熾十の放った言葉が突き刺さる。


「俺より河原さんの方が好きなんでしょ? 戸惑うことないじゃないですか。俺は邪魔じゃないっすか」

「つッ……そりゃそうだけど、4月から付き纏ってきてる奴がいるんだからそいつ無視するわけにもいかねぇだろ!! それがなきゃ戸惑わねぇよ」


 俺も気づけば言い返していた。俺の言葉に熾十は驚いたように目を見開いて俺を見たがそれも一瞬、すぐに視線を逸らす。そしてこう続けた。


「そうやって諦めんなら最初から近寄んな……」

「……先輩、俺のこと好きっすか?」


 熾十はうつむいた俺の顔を下から覗きこみながら聞いてきた。目が若干赤くなって目尻には涙が溜まってる。さっきまで泣いていたみたいだ、さっきまで……


 今はいつも通り笑っている。


「調子いいやつだな、ほんと……嫌いじゃねぇよ」


 ぼそっと呟くと熾十の目が見開かれる。そんな驚くかよ。人が頑張って言ったのに、この野郎……


「先輩、マジで好き♪」

「ひっつくな!」

「今日、家行っていいっすよね」

「んなわけねぇだろ!!」


 すっかりいつもの調子に、いやいつも以上に調子に乗った熾十。やっぱ一旦距離を置くべきだったか、くそ判断ミスったかもしれん。


「これはこれでアリかも……?」


 後ろからそんな声が聞こえたが、俺が振り返ろうとしたとき熾十に抱きつかれる。


「ちょっ、お前……」

「良いじゃないっすか。いや〜、夜が楽しみだなぁ」

「ふざけんな?!!」




 そんなこんなで俺たちの関係はこれからも続いていく。前よりも熾十がひっついてくるようになって俺がソレを満更でもなく感じ始めて出水が尊い尊い言ってる以外は何も変わらない。




 ─────────────────────


 筆者のネコマタです。此度は読了ありがとうございますm(__)m


 ちょっとかなり強引な終わらせ方ですがいい加減完結させないとなー、って思った結果です。BLは新しく考えてるので是非そちらを。今回のより出来は良いはず、、


 言い訳をさしてもらえるなら、見切り発車したのが良くなかった……次に活かそうと思うので何卒(_ _)

 いつも読んでくださってる皆様、ありがとうございます。ぜひ★を恵んでもらえると嬉しい限りです。

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BLっぽい物語 黒兎 ネコマタ @123581321346599

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