第4話水と温泉の都アルカンレティア中編

アクアのその言葉にめぐみんまでもがコクコクと頷く。「だから違うって!俺はその子に恋心なんか抱いてねーから!」

そんな俺の叫びを二人は半目で見ると再び頷いた。「……なんだよお前ら」

──馬車は進み続け、俺達はアルカンレティアに着いた……のだが。

「どうしてこうなった……」

目の前に広がるアルカンレティアの街を見て俺は思わず呟いた。

なぜなら街がアンデッドに埋め尽くされていたからだ。

「ねえカズマ、私はプリーストとしてこの街の人を放っておけないわ!ここは私達が一肌脱ぐべきじゃないかと思うの!」

俺の隣ではアクアがそんな事を叫んでいる。俺はそんなアクアを冷めた目で見ると。「お前ってアンデッドホイホイだろ?お前が一人で飛び込んでいけば良いじゃん」

その言葉にアクアが泣き喚き始めたので俺は慌てて街の中に駆け込んだ!「……おや、あんた達は冒険者かい?若いのに大変だねえ!私らが若い頃は魔王軍の連中になんて、今よりもっと手も足も出なかったのにねえ」

街の人々は俺達を見るとそんな事を言ってきた。

「とりあえずさっさと終わらせましょう!アルカンレティアには温泉もありますし!」

めぐみんがやる気を漲らせるとアクアがため息を吐く。「でもカズマ、どうしましょう?こんな数のアンデッドを浄化するとなると魔力が足りないわよ?」

そんなアクアの言葉に俺が頷く。「じゃあちゃっちゃっと終わらせて帰るか」

俺達はこの街に来た最大の目的、温泉へと向かう事にした。

─アルカンレティア・温泉街前─ 俺達はアンデッドの大群の足止めをプリーストに頼むと、温泉街を散策していた。

「なかなか良い街じゃないか」

そんな俺の言葉にアクアが嬉しそうに頷く。「そうでしょう!そうでしょう!なんたって私の故郷の国なんだから!」

そんなアクアの言葉にめぐみんも頷いた。「ええ、でもなんというか……この街にはどこかで覚えがあるんですよね……」

「おっ、奇遇だな。実は俺もなんだよ」

そんな俺達が街中を散策していると、まるでこの街の名物であるかの様に温泉まんじゅうを売るおっちゃんがいた。

「ねえカズマ、ちょっとあの人に聞いてみない?」

そう言ってアクアが温泉饅頭を売っているおっちゃんを指さした。

俺は頷くと……。「……なああんた、この街にはなんだか見覚えがあるんだが……なんでだ?」「そりゃあお客さん達!ここは女神様達が昔作った街だからですよ!お供え物として各地から色々な物を贈られたとか。まあ私らは直接女神様達を見た事はないがね!」

それを聞いた俺達はアクアにジト目を向けると。「つまり、ここは昔のアクシズ教団があった場所なんですか?」

そんなめぐみんの追及にアクアは慌てると……。「わあああああーっ!なんで私のせいにするのよ!この温泉饅頭おいしいわね!」

そんな温泉饅頭を買った俺達は、この温泉街の案内板を見つけた。

そこにはこの街が作られた理由が書かれていたのだが……。

『女神様をご招待するため』

「おい、アクアがアクシズ教徒の作った街に飛ばされたって事は、もしかしてこの街にいるアンデッド達は……」

俺の呟きにアクアが微妙な顔をした。「おそらく、女神エリスと間違えてこの街に送られてきたんじゃないかしら……」

俺達は温泉街を抜け出すと温泉街へと引き返す事にしたのだが……。

─アルカンレティア・教会前─ その道中でめぐみんがふと足を止めた。「どうしたんですか?何か気になるものでも?」

そんなめぐみんの言葉に俺は周囲を見渡すと

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

この素晴らしい世界に爆裂を!! @hakikonosubafan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る