キャラが増える……

「まさか、ね」

 

 ルイセントは腕を組み椅子に座っている。

 

「警察が機能しているとは」

 

 彼は殺人の嫌疑をかけられた。

 実際に側から見れば人殺しを行なったのは間違いではないのだから嫌疑と言うのもおかしな話だが。

 

「マリノシティの警察は無能だったんじゃないのか、ビリー」

 

 今は別室に居る為、イシュリアの答えは返ってこない。

 

「……流石にあんな場所で殺人が起きれば別だろう。何と言ったか……」

「ルイセント。ルイセント・モリアーティだ、警官さん」

「モリアーティさん。どうにもアンタは公認の狩人らしいな。儂は知らんが」

 

 バッジをルイセントとの間にあるテーブルの上に置く。

 

「情報を更新しろ、警官」

 

 それを回収してルイセントはポケットにしまい込んだ。

 

「まあ、無罪放免だ。害獣駆除ご苦労様って奴だな」

「そいつはありがたいね。ああ、そうだ。警官なら、あまり期待してないが……ユーシェンと言う名前に心当たりは?」

 

 警官は「人探しか? マリノシティの人間……と言うか、この辺りのヤツじゃないだろ? 悪いが心当たりはないな」と首を横に振った。

 

「ま、期待していなかったから良いよ」

「そうかい。儂も適当にやってる側の人間だからな、アテにしないでくれ」

 

 彼、ルベール・オーウェンはヒラヒラと手を振る。

 

「疑いも晴れたなら」

「疑いと言うか、現行犯だったがな」

「……疑いは晴れたから僕は帰るよ。ビリーを待たせるのも悪い」

 

 ルイセントは立ち上がる。

 

「ビリーってのはアンタの連れの事かい?」

「ん?」

「そいつも取り調べ中だ。ボロボロ余罪が出てきてな」

「人殺しも傷害もないだろ?」

「軽犯罪が結構な」

 

 釈放するにも結構な額になるぞ、とルベールが言う。

 

「別に構わない。僕の金の使い処はそこまで多くないしな」

 

 今回の茶会への参加料を支払ってもルイセントの貯えには余裕があった。人生を何度か繰り返しても問題ない程に。

 

「にしても今更な話だ。今まで分かっていても放置してきたんだろ?」

「場所が場所だ。まあ、あの茶会に参加できるくらいだろ?」

「……成る程」

 

 ルイセントも言いたい事を理解できた。

 つまりは金が欲しいと言う事だ。

 

「ま、罰金って形としてだ。汚職警官の名前は儂も差し上げますって言われても突っ返したいからな」

「別に構わない。僕の払える範囲になるが、それで収まるなら好きなだけ持っていくと良い」

 

 罰金を言い値だと。

 ルベールは適当に「ざっとこんな所か」と提示する。

 

「……余裕だな。もっとふっかけられるかと思った」

 

 ルベールは立ち上がりルイセントの隣に移動する。

 

「金を取りに行く。ビリー……僕の友人には数時間待ってくれと伝えておいて欲しい」

「何か置いてけ」

「僕が友人を置いて……」

 

 正確な認識は大事な仕事道具だが。

 

「念の為だ」

 

 仕方がない、と鼻息を漏らしポケットの中を弄る。

 

「なら、これかな」

 

 ポケットに一度しまい込んだ身分証になり得るバッジを投げ渡す。

 

「良いのか? 大事なんだろ?」

「だからこそ、だ。取りに戻る必要がある。これ以上に信頼できる何かはない。違うか?」

 

 ルイセントの確認にルベールはふと笑い「違いない」と肯定する。

 

「アンタのツレ、と今取り調べしてる奴には儂から伝えておく。ゆっくり金を取りに行ってこい」

 

 ルベールに見送られルイセントは屋外に出た。

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主人公のCVを妄想しながら書いた話 ヘイ @Hei767

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