第2話 二谷魅美

 昼休みの昼食を済ませた後のこと。


 ご飯を食べた途端に、心地よい眠気の誘惑に負け、少し仮眠を取っていた時のことだ。


 上から何やら押し寄せる圧迫感。


 それは決して苦しいものではなく、何というか、まるで柔らかいものに包まれているような感覚。


 ポヨンポヨンとまるでプリンのように、ぷるぷると跳ねるのが目を瞑っていても分かる。


 何が当たっているのか分からず、気になった僕は顔を上げる。


 すると、その柔らかい何かは、プルンプルンと頭で弾き返される。


 柔らかい感触を最後に、顔を上げたそこには、二谷魅美の姿がそこにあった。


 気づいていないのか、楽しそうに満面の笑みで僕の顔にチェストブローを叩き込んでくる。


 リズムよく叩いていた魅美は、やっと僕が起きたのに気付いたのか、顔を赤らめて女の子らしい叫びが誰もいない教室に響き渡る。


 他の人は、まだ学校にある購買や食堂で、昼食をしているようだ。


 もし帰ってきていたら、羞恥心で僕なら死んでしまっていたかもしれない。


「ななな、何もしてません〜。何もしてませんよ! ええ、してません!」


 手で顔を隠しながら、自分のやっていた悪戯いたずらを恥じているようだ。


 きっと僕に気持ちを伝えたことで、舞い上がってしまっただけだと思いたい。


「本当に……何してるの」

「いえ……その、話しかけてるのに揺さぶっても起きないので、つい……」

「あのね、もうちょっと女の子の自覚持ったほうがいいよ」

「まぁ! 告白に返事もせず逃げた人とは思えませんわ〜」


 恥ずかしい所を見られた仕返しなのか、痛い所をついてくる。


 二人の気持ちはとても嬉しかったが、すぐに決められない僕は、悪く言えばキープ、良く言えばちゃんと答えを出して決めたいという最低な保留の仕方をするしか無かった。


 まだ彼女たちと出会って一年しか経っていないのに、答えを出しても酷なものになってしまうのが見えてしまう。


 そう思ってしまった僕は、逃げてしまったのだ。


 そもそも、何で自分のことを好きになったのだろうか。


 疑問には思ったが口に出さず、僕に何の用かを尋ねる。


「放課後に、その……二人きりで!」

「二人りきで何よっ!」


 魅美が内容を話そうとした途端、横から小娘が割り込んでくる。


「な、なな何もありませんわ〜。決して、抜け駆けして二人きりでカラオケに行こうなどと」

「え!? ずるい! 私も行きたい!」

「あなたは生徒会の仕事があるのではなくて?」

「昼休みの内に少し作業進んだから大丈夫だって! 抜け駆けしようとしたお詫びに一緒に連れてって!」


 何だかんだ言いながら、仲良さげな一面を見せる彼女たちに、僕はもう一人連れて行きたいやつがいることを告げる。


「え? あいつ?」

「あんまり乗り気はしませんが、立が言うなら……」


 こうして僕たちは、四人で放課後カラオケに行くことが決定したのだった。

















































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貧乳と巨乳は喧嘩する 歩く屍 @fb25hii

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