前菜
「まずはこのお部屋で『前菜』を一つ選んでいただきます」
机とソファーだけがある小さな個室へ案内された。
「あとでお茶をお出ししますが、わたくし良良とそちらの好好、どちらをご希望ですか?」
「じゃぁ、良良さんで」
「かしこまりました、ではお決まりになりましたらお呼びください」
二人は退出する。
ソファーに座り、先程渡されたメニューで前菜を選ぶ。
―――― 本日の前菜 ――――
マンドラゴラのサラダ
コカトリスの蒸し物
クラーケンの酢の物
ユニコーンの薄焼き肉
カルキノスの酢の物
材料が何かサッパリわからないが『幻想』がコンセプトなので、きっとそれに模した物が出てくるのだろう。
とりあえず『クラーケンの酢の物』にしよう。
「あの~! 決まりました!」
「『クラーケンの酢の物』でお願いします!」
「かしこまりました」
茶碗と急須を持ったスレンダーな美人、良良が入室してきた。
「こちらは数種類の薬草を煮出したお茶でございます」
「飲むと体の中を清める効果があります」
「それでは、失礼します」
と言って良良は急須から茶碗にお茶を入れ自身の口にお茶を含むと、こちらに顔を近づけてきた。
思わず良良の唇に自分の唇を合わせる……
口の中に良良の舌と温かく甘いまろやかな味のお茶が入ってきた。
そのままお茶を飲み込む。
良良は唇を離すと耳元に甘い声で
「お楽しみはこれからよ…」
と言って立ち上がった。
「それではこちらのお部屋へ」
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