第39話 カリスマ……!


「ね、ねえ、あの人、もしかして」

「あの白髪……銀の鎧……おお……」

「なんて冷たい目……いや、それよりもあの紋章って」

「紅い髪に、あの耳……エルフだ……」

「バカ、それよりあのローブ……ありゃあ、まさか……」



「き、貴様ら、……いや、貴殿らは……まさか……!」



「こんにちは、マリス教会ホルガ村司祭のクワットさん。自己紹介が必要でしょうか?」


「貴女は、その白髪、雪のような肌、青黒の瞳……ノースの民……ホワイト、ノース・セインライダー……”銀剣”!?」


「ええ、その通りです。良かった、必要以上の言葉を交わす必要はなさそうで」


 白銀の鎧に身を包んだホワイトがにこりと笑う。

 アイツ、目が笑ってねえんだよな、いっつも。

 なんか後ろにもごつそうな連中引きつれてんな……。


「お、おい、あの白銀の鎧って……」

「ウェポンズだ……! 帝国冒険者ギルド史上、最速でS級パーティーになった連中……」

「大陸禁足、白竜山脈を完全攻略したって……」

「全員がS級冒険者って聞いたぞ。あの白銀の鎧、全部銀竜の素材を使ってるんじゃ……」


「ホワイト、そんな言い方は良くないんじゃあないかい? まるで司祭殿と会話したくないようにも聞こえてしまうよ。やあ、司祭殿、去年の7賢会議以来かな?」


「スカーレット・エルヴァ・クリークライダー……”紅の賢者”……!! な、なぜ、貴女が、貴女までここに!?」


「ああ、彼女達とは途中で会ったのさ。ごめんね、大勢で押しかけてしまって」



 スカーレットが人の良い顔でへらへら笑う。

 こいつもさあ、なんか眼鏡の奥の目が笑ってねえんよな。


「嘘……紅の賢者……」

「魔法史の歴史を100年進めた天才……」

「黒炎の魔法使いを倒して7賢の席を手に入れた人だ……」

「見て、あの耳……エルフよ」

「高位種族がなんで……」

「引き連れてるのも全員一級魔法使いだぞ」


 そう、昨日読んだ新聞だ。


 ホワイトは異世界ファンタジーの一丁目一番地の超有名冒険者。

 スカーレットは異世界王道、世界有数の魔法使い。

 クロはもう俺だってやりたかった暗殺稼業だ。


 他のカースブラザーフッドのメンバーもなんかそれぞれこのあ世界で著名人化してしまっている。


 ……俺、家無しなんだが。

 なに? 皆、世渡りうまくねえか?



「こ、これはこれは。帝国に名高いお2人よ……本日は来賓の予定にはなかったはず、ですが」


「司祭殿、話を長くするつもりはありません。我々が今日ここに来たのは教会へ1つ伝えたい事があっての事です」


「……は?」


「そう固くなることはないよ、司祭殿。なに、そう悪い話じゃないんだ。あー、君達が今行ってる神明裁判に関わる話さ」



 ホワイトとスカーレットの言葉に誰もが注目している。


《この2人は元よりカリスマ技能持ちです。あ、プレイヤーにはありませんよ》


「まったく聞いてないけどありがとな」


 ナビのひそひそ声に返事しつつ考える。


 俺は今日、まだホワイト達になんも指示は出していない。

 というか最近はもうカースブラザーフッドはほぼホワイト達が勝手になんかいろいろやってる感じだ。


 俺の仕事はなんか、ホワイト達に言われたらその場所に赴いて強そうな奴がいたら少し呪術の練習がてらぶっ殺すくらいだしな……。


「この裁判に関わる話……だと?」


「ええ、あなた達が探している者について我々ウェポンズと」


「7賢が一角、紅の賢者派からマリス教会に1つ情報提供をしてあげようと思ってね」


 うん?

 何言ってんだ、こいつら。

 あーどうしよ、俺の灰色の智謀を



「情報提供? 何を言って」


「「カース」」


「えっ」


 ホワイトとスカーレットが口を揃えて呟く。



「グレロッドを殺し、貴女達教会が探しているものを引き継いだ男の名前よ」


「そして、その男が率いる組織。カース・ブラザーフッド」


 マジか。


「我々が追う、神への叛逆を狙う組織の名前さ」



 謀反か?

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凡人呪術師、ゴミギフト【術式作成】をスキルツリーで成長させて遊んでたら無自覚のまま世界最強〜異世界で正体隠して悪役黒幕プレイ、全ての勢力の最強S級美人達に命を狙われてる? …悪役っぽいな、ヨシ! しば犬部隊 @kurosiba

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