百鬼夜行

岸亜里沙

百鬼夜行

琴音ことねは今年一年、どんな年だった?」


忘年会を兼ねて仕事場の数人が集まって、居酒屋で飲んでいた時、同期である恭子きょうこが私に聞いてきた。


「そうね、可もなく不可もなくって感じかな」


私は素っ気なく答えた。

彼氏とも別れたりで、あまり良い事も少なかった2023年だったけど、幸いな事に友達たちが私を支えてくれたので、落ち込む事もそんなに無かった。


「そっか。私は色々とあったな。コロナも落ち着いてきて、たくさん旅行にも行ったし。でもずっと不景気だし、物価高だし、嫌になることばっかりね」


恭子はモスコミュールを一口飲むと、更に話を続けた。


「ねえ、琴音は今の日本ってどう思う?」


「えっ?今の日本?」


私は急に突飛な話題を振られ、考え込んだ。


「うーん、確かに明るい話題も少ないし、なんか前ほど幸福じゃない気がするね」


「でしょ?日本の政治って国民に負担を強いて、権力者に媚びるものだもの」


恭子は語気を強め、語りだした。


「琴音、気づいてる?政治家の汚職とか不正のニュースが出た後って、大体芸能人の薬物所持のニュースが出てるのを」


「えっ、そうだっけ?」


「そう。政治家の不祥事の後、かなりの確率で芸能人の逮捕者が出てるわ。警察にはもう既に芸能人の薬物使用者のリストがあるらしいの。だからいつでも逮捕出来るけど、政治家が止めてるらしいわ。国民の目を政治家じぶんたちの不都合な話題から遠ざけて、芸能人そちらに向けさせるために」


私はジントニックを飲むのも忘れ、恭子の話を呆然と聞いていた。

他の同僚たちは各々会話していて、私たちの話は聞いていないようだ。


「あとさ、HAARPハープって知ってる?」


恭子が聞いてきた。


「ハープ?弦楽器の?」


「いえ、HAARPハープは、人工的に地震を発生させる兵器だと言われているの」


「嘘っ?!そんなのがあるの?」


「元々は自然観測のために作られたらしいけど、今はそれを軍事兵器として権力者たちが保身のために使ってるらしいの」


「どういうこと?」


「日本の人工地震は、政党の支持率が下がってきたときや、政権維持のため敢えて災害を生み出すのに使われているんじゃないかって思うわ。さっきの芸能人の話じゃないけど、国民の目を政治から背けさせ、政府の権威を示すためにね。東日本大震災の地震も、実は人工地震だったんじゃないかって陰謀論もあるわ。あのときも確かかん総理の献金問題が記事で取り上げられてたしね」


「そんな・・・」


「私は生まれる前だから分からないけど、阪神淡路大震災のときも、前年に決定した消費税引き上げに対する世論を誤魔化すために地震を起こしたんじゃないかって思ったりもするわ」


「でもさ、その人工地震の兵器って本当に有るの?」


「有るわ。だって自然災害を引き起こす兵器を、戦争に使用してはいけないって国際条約もあるくらいだし」


「そうなの?!」


「ええ。だからまた近い内に巨大地震が起こされるんじゃないかしら。人の手によって」


そう言い終わると恭子は、飲み干したモスコミュールのグラスを机に置いて、お皿に取り分けられた生ハムサラダを口にしました。


「とにかく、今日を楽しみましょ!私たちにはどうにも出来ないことだもんね。ほら琴音も飲んで飲んで」


私は氷が溶けて、薄くなったジントニックを一口飲んで恭子に訊ねた。


「ねえ恭子。恭子が話してくれた話、ネットに投稿してもいい?」


「もちろん!琴音が書いてた『パンドラの薬』『歪な波長』『乱雑な方程式』全部好きだよ。やった!私の話もそこに仲間入り出来るんだ!」




この話が真実かどうか、私の知識からは判断出来ません。


実際2024年1月1日に発生した石川県の地震もあり、私自身このお話を投稿しようか凄く迷いましたが、だけど恭子が話してくれたこのお話が、仮に本当だとしたら、みんなで声を上げなければならないのかもしれません。


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百鬼夜行 岸亜里沙 @kishiarisa

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