男「俺は全ての感情を失ってしまったんだ……!」幼馴染「ふーん」

くろねこどらごん

第1話

 幼馴染「ほんとかなー」スカートピラー

 

 男「!?」


 男(お、幼馴染のやつ、いきなりスカートの裾を持ち上げて……! あれじゃパンツが見えるかもしれないじゃないか! なにやってんだ!?)


 幼馴染「あれ、どうしたの男? 目を見開いちゃってるけど?」


 男「おま、おままま」


 幼馴染「ひょっとして、動揺してる? 感情なくなったんだよね?」


 男「!? そ、そうだ。俺にはもはや感情など存在しない。暗黒黒焔の世界神(ダークネスフレイム・イズ・ゴッド)の力に目覚めたこの俺が、スカートごときで動揺するはずが……」


 幼馴染「(無言でスカートピラー)」


 男「!?!?」


 幼馴染「おー、見開いてる見開いてる」


 男(こ、こいつ……!)


 男(いや……落ち着け、俺。幼馴染は俺をからかい、動揺させようとしているだけだ。そして感情を引き出そうとしている……その手に乗るか!)


 幼馴染「ちなみに私からはスカートの中身が見えてるかよく分からないんだけど、男はどう? ちゃんと見えてる?」


 男「いや、ギリギリ見えてない。でも太ももがすごく眩しくてもう眼福……って、なにを言わせるんだ!?」


 幼馴染「見えてるか聞いただけだけど? てか、今叫んだよね? やっぱ動揺してる?」


 男「してないしてない。俺、感情全然ないんで。マジで」


 幼馴染「ふーん」


 男「くっ、まるで信用してないな、お前……!」


 男(ちぃっ、完全に女のペースに乗せられてしまっている。このままではまずい!)


 男(ここは戦略的撤退だ。逃げるんじゃない。俺の《力》がさらに高まった時、再び相まみえればいいだけだ!)


 男「さて幼馴染。そろそろ俺は失礼させてもらう。失われた感情を取り戻す旅に出る準備をしなくてはいけないんでな……」


 幼馴染「旅? どっか行くの? 夜までには帰ってくるんだよ?」


 男「日帰りできる距離は旅とは言わねぇよ!? ただ遊びに行くのと変わらねぇじゃん!」


 幼馴染「あ、ツッコミしてきた。やっぱ感情あるじゃん。旅に出る必要ないんじゃない?」


 男「いや、ないない。めっちゃない。ないったらない。ただ、旅に出る必要はめっちゃある。あるったらある。すっごいある」


 幼馴染「あるとかないとこややこしいなぁ……」


 男(話をややこしくしてるのはお前だよ!!!)


 男(い、いや、だから落ち着け俺! COOLになるんだ、そう俺はCOOLな男……)


 幼馴染「それにしても、男の部屋暑くない? ちょっと暖房効かせずじゃないかなぁ」スカートピラー


 男「H◯T LIMIT!?」


 男(こいつ……さらにスカートを大きくめくってやがる! 羞恥心というものはないのか!?)


 幼馴染「んー、どうしたー男ー。いやらしい目をしているぞー。感情ないんじゃなかったかー?」ニヤニヤ


 男「!!」


 男(いや……違う、幼馴染は俺を試しているんだ。感情を失っている俺の言葉を嘘だと思ってやがる。これは俺の嘘を暴くための罠だ。そんな見え透いた手に、この俺が乗るかよ!)


 男「フッ、幼馴染。生憎だが、お前の企みは既に我が真実を見通す天理の瞳(ノットライアー・デス・アイ)が見抜いている。そんな姑息な挑発行為は俺には無意味……」


 幼馴染「あー、暑いなー。スカートの中蒸れちゃいそうだなー」高速スカートピラピラー


 男「   」


 男(フ、フォォォォォォッッッ!!!)


 男(み、見えそう! マジで見えそう! 女の、女のパンツが! もう!)


 幼馴染「あれ、男。どうしたの、そんなに首カックンカックンさせて」ピラピラー


 男「なに、ちょっとワ◯ワ◯パニックの真似がしたくなってな。気にするな」カックンカックン


 幼馴染「ふーん。でもなんだか、アタシがスカート持ち上げる動きに合わせてる気がするんだけど。気のせいかな?」ピラピラピラピラー


 男「気のせいだな。それよりもっと大きくめくったほうがいいんじゃないか? あと少しだと思うんだが」カックンカックンカックンカックン


 幼馴染「んー、そう? なにがあと少しかは分からないけど、男がそう言うならするね」ピラピラピラピラピラピラー


 男「ああ、頼む。あともうちょいなんだ」カックンカックンカックンカックンカックン


 男(よし、あと少し……あと少しだ!)


 男(あともう少しで、女のパンツが見れ……)




 幼馴染「でも、やーめた♡」テヲトメー


 男「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」



 男(な、なんで!?)


 幼馴染「よく考えたら、付き合ってもいない男の子の前でスカートまくるとかはしたないもんね。ごめんね、男。アタシ、デリカシーなくてさ」


 男「い、いや、その……」


 幼馴染「せめて男がアタシのこと好きで、付き合ってくれるっていうならこの先を見せてあげてもいいんだけど、無理だよね」


 男「え、いや、無理なんかじゃ……」


 幼馴染「無理だよ。だって男、感情失ってるんだもん。全部なくしたみたいだし、好きって感情もなくなってるんだよね?」


 男「!?!?!?!?!?!?」


 男(し、しまったああああああ!!!!! そういう設定にしちゃってたんだあああああああ!!!! 俺のばかやろおおおおおお!!!!!)


 幼馴染「ごめんね、男。変なことしちゃって。もう邪魔しないから、旅に出ていいよ。アタシもう帰って、男が戻ってくるのを……」


 男「ま、待ってくれ! 幼馴染!」ガシッ


 幼馴染「……なに、男? 大きな声だして」ニヤニヤ


 男「じ、実はたった今感情が戻ったんだ!」


 幼馴染「えー、ホントに?」ニヤニヤ


 男「本当だ! 嘘じゃない!!!」


 幼馴染「でもなぁ、さっきも大きな声出してたけど、感情なかったみたいじゃん。ちょっと信じられないなぁ」ニヤニヤニヤニヤ


 男「くっ、そういえばそうだった……ど、どうすれば信じてくれるんだ! 幼馴染に信じてもらうためなら、俺なんでもするよ!!!」


 幼馴染(ん? 今なんでもするって言ったよね?)


 幼馴染「ほんとに? なんでもするの?」


 男「ああ! 男に二言はない!」


 幼馴染「ふーん……」





 幼馴染「じゃあ……キスして♡」


 男「  」


 男(キッ……キスゥゥゥゥッッッ!?!?!?!?!?)


 幼馴染「言っておくけど、ほっぺにじゃないよ♡」


 男「そ、それはつまり……」ゴクリ


 幼馴染「キスするのは……アタシの、くち・び・る♡♡♡」ツキダシー


 男「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」



 幼馴染「ほら、はやくはやくぅ♡」


 男(え、い、いいのか? キスなんかしちゃっても。俺、まだパンツも見たことがない童貞なのに、キスなんてまだはや……)


 幼馴染「キスしてくれたら、もっとすごいこと…してあ・げ・る♡」


 男「好きだ、幼馴染。愛してる」チュー


 男(俺は結局、欲望には勝てなかった)


女「えへへ♡ アタシも好きだよ、男♡」キスカエシー


男「幼馴染……!」


 男(だが、なくした感情を取り戻した代わりに、幼馴染と付き合えたんだから……感謝しないといけないかもな)


 男(悲しい男の性と、幼馴染のパンツに、な)フッ





 幼馴染(………………計画通り♡)ニヤリ


 お・わ・り

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

男「俺は全ての感情を失ってしまったんだ……!」幼馴染「ふーん」 くろねこどらごん @dragon1250

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ