第4話「信じる者は救われる?」
あいは、幸福感に包み込まれていた。
生まれて初めての彼氏、“
その一方で「もっと長く生きたい!」という強い欲求があいの身体の深部から湧き上がってきた。
そして、とうとう、輪廻眼アタルに宣告された、あいの命日となる日を迎えた。
あいは、お父様、お母様、お兄様、親しいご学友たち……そして、田中正男くんに、ありったけの想いを込めて手紙をしたためた。
メリーゴーランドのように、あいが生きた17年間の想い出がくるりくるりと途切れることなく脳内再生された。
あいの瞳から、涙がとめどなく零れた。
◯月×日 19:32
家族との最後の晩餐会。この晩餐があいと一緒に食卓を囲む最後の晩餐となることを知らない家族のために、あいは、健気に明るく振る舞った。玉じいが密かに涙を拭う姿を目にしたあいは、心が締め付けられる思いがした。
(玉じい、辛い思いをさせてしまってごめんなさい……今まで本当にありがとう!)
22:45
最後の日記を書いた。
『あいは、皆の心の中にずっと一緒にいます! どうか、悲しまないでくださいまし!』
という言葉で締めくくった。
23:50
◯月×日も、残すところあと10分となったが、何事も起こる気配はない……
24:00
何事も起こらずに、◯月×日が終わった……
(おかしいわね? 輪廻眼様のお告げは百発百中とお聞きしておりましたけど……多少の誤差があるのかしら?)
あいは、テレビをつけた。
あいが大好きな “夢きゅん☆どりいむ” のレギュラー番組が映し出された。
「嗚呼! “えりりん” 様、今日も尊い……“えりりん”様の可愛らしいお姿、あいは、天国に行っても決して忘れません!」
とその時、
テレビの画面が突然切り替わった。
――番組の途中ではありますが、緊急ニュースをお伝えいたします。報道ステーションからお伝えいたします。バラエティー番組にも出演し、百発百中当たると評判の自称占い師兼霊媒師の“輪廻眼アタル”、本名、“
我に返ったあいは、テレビを消した。
そして、姿見に映った自分の姿を見て、ハッとした。
「髪が……髪がぁ……プリンちゃんになっとるやんけーーーーーーー!」
あいは、スマホを手に取り“
了
爆走☆パツキンガール! 喜島 塔 @sadaharu1031
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