第4話
母星との通信が回復したのはおれが隊長を始末してからだった。
血塗れのウルの上半身を引き摺り、もう殆ど在庫の残されていない食糧庫へとぶち込み、扉を閉めた。鍵を掛けた。
通信機の故障が人為的にもたらされたものかもしれないと疑ったのだ。調査を進めるとやはり内部では巧妙に、そして意図的に故障が捏造されていた。それは自然に起こる劣化などではなかった。注意深く機器を分解し、眺め、おれ一人で復旧をさせた。
最後に生き残ったのがおれで本当に良かった。
おれは工学担当だった。この故障を見極め、直せたのは隊の中ではおれと隊長だけだったろう。
「こちらジャイロ………聞こえるか?」
久しぶりに発した自分の声は不思議に耳へと届いた。痩せ細り、疲れ果ててはいたが、次にやるべきことが明確となった今、何とか気力を奮い立たせることが出来た。端末の向こうが騒いだ。
「おい通信が入ったぞっ」
驚愕と歓喜の声。
ふふ。
もみあげと一体化した顎髭へ、ねっとりとした唾液が一滴、落ちた。
旨そうな餌はまだ向こうにはたくさんある。
とある惑星の食事 雨矢健太郎 @tkmdajgtma
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