第2話 おまけ
『ゲーム終了。お疲れ様でした』
「……ふぅ。あぁ、やっぱりいいなこれ」
さっきまで見ていた放課後の公園から一遍。
よくあるゲームセンターの風景が目の前に映し出される。
VRルームを出て、満足した背伸びをする。
やっぱりこのギャルゲーは何度やっても堪らないぜ。
二一三二年、新型VRゲームが発表されて早半年。
使用するのに膨大なデータ管理だかなんとかが必要で、わざわざゲームセンターまで通わないといけないのがネックだが、これはその苦労の甲斐がある楽しさだ。
なんて言っても、一番人気のあのゲームのウリは、寝取られからのざまぁをこれでもかと味わえるって事だ。虜になるやつが続出するのも分かる非常にリアルな恋愛模様。
この為に生きてると言っても過言じゃない程クセになるスリル。
学生時代には遠巻きに見る事しか出来無かったリアルな恋愛。
そして、心の醜い女をざまぁする快感!!
俺はゲーセンを出て一人帰路につく。
会社ではうだつが上がらない四十路だが、休日のこの体験で日頃の鬱憤を全てリセット出来る。
まさしくストレス社会で戦う現代人に与えられた究極のヒーリングマシンだ。
「へへっ。また一週間後が楽しみだ。今度は朝から深く潜ってやるぞ。……ひひっ」
次回はどんな設定で恋と復讐を楽しむか?
なんせパターンがあまりに豊富過ぎて、考えるだけでワクワクが止まらん!
例え冷たく暗いアパートの一室が待っていようと、今の俺は来週に対する期待でウキウキとして堪らなかった。
「あのおじさん、なんでブツブツ言いながら笑ってるの?」
「知らない振りしてやれって。大人には色々あるんだろ? それよりさ、今日のデート楽しかったな! お前なんて、いくらお化け屋敷のホログラムがリアルだからって……」
「またその話!? もう、たか君のば~か!」
「はは、機嫌直してくれよ。美味い飯食わせてやるから。この前エアバス乗ってた時に良さげな所見つけたんだよね」
「ええほんと? じゃあ期待しちゃおっかなぁ~?」
「まったく現金なやつ」
「そういう所が可愛いでしょ?」
「自分で言うなっての」
「へへっ。ごめんなさ~い。……ひひっ」
遊びで人を傷つける浮気者達。俺が新しい恋を手に入れたら連中勝手に落ちぶれて行ったんだけど? こまの ととと @nanashio
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。