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 悠伊は秋姉と一緒に

 雄一の住むアパートに向かっていた


 悠伊の首には

 雄一から借りたマフラー、

 それと手には白い紙袋が


「良かったね悠伊ちゃん、

 雄一今日休みだってさ」


 ウンと可愛らしく返事をする悠伊、

 秋姉はそんな悠伊を見て

 頑張れと心で思っていた


 秋姉は悠伊の持つ白い紙袋を見て言う

「買えて良かったね、

 雄一の誕生日過ぎちゃったけど

 それを買う為にバイト始めたんだもんね」


「それもあるけど、

 秋姉の部屋にいつまでも

 お世話になってる訳いかないから、

 お金貯まったら1人暮らし始めるね」


「いつまでもお世話になって良いんだよ〜」

 そう秋姉は悠伊に抱きついた、

 悠伊は苦しいと言いながら

 秋姉から離れようとした


 秋姉は悠伊が巻いているマフラーを見て

 それって と悠伊に質問した


 今日の昼

 雄一が悠伊に巻いた紺色のマフラーは

 悠伊が高校生の時

 雄一の誕生日の日に渡した

 誕生日プレゼントだった、

 当時はお金が無く

 手作りで作った手編みのマフラーだったが

 雄一は今も大事に

 そのマフラーを持っていてくれたのだ


 悠伊は顔を赤らめ

 手に持つ雄一の誕生日プレゼントを見て

 心を少し弾ませていた




 雄一の住むアパートの前に到着すると

 そこには雄一の姿と知らない女性の姿が


「大丈夫井上さん?」

「ありがとう...雄一君」


 雄一を下の名前で呼ぶその女性

 二人からは唯ならぬ関係を感じさせ

 悠伊は手に持っていた

 白い紙袋を地面に落とした


「悠伊ちゃん」


 秋姉は悠伊の顔を見ると、

 悠伊は涙目を浮かべ

 雄一と知らない女性が

 雄一の部屋に入って行く姿を

 見る事しかできなかった

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Uの雪 一部 深々ロア @noosvgkoej

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