血染めのシスター

碓氷スノウ

シスターの日常

カラカラ、、、カラカラ、、、

何かを引きずる音がする。

聞こえてきた方に目を向けると、少し背の高い女性が何かを引きずりながら歩いていた。

シスターと呼ばれる格好な気がするが、、、なんとなく違和感が拭えない。

胸に十字架があるように見える、、、、が、顔を見ると、、、血?そこで我に帰り、その女性から顔を背ける。

引きずっていたものは、釘バットではないか。

オッドアイに、無表情の顔。世間一般に言われるシスターとは何もかもがかけ離れている気がする。顔についているものは血、、、なのか?

関わってはいけないと思いつつも、横目でその女性を観察してしまう。

ちらりと、目が合ってしまった。

平静を装い、何も見てませんと言おうと心に誓いながら内心心臓が飛び出そうだった。

近づいてきたらわかる、間違いない。

全身真っ赤なシスターがそこにいた。

「ご機嫌よう。私のほうを見ていらしたような気が致しますが、何か御用でしょうか?」

しまった!バレている。なんとかして切り抜けないと、、、返り血を浴びて釘バットを所持している女など碌なものではない!!

全てを見透かされてしまうと思ったため、顔に何かついていますよ。とだけ返事をしてみた。

「あら、、、これは、、、、。お見苦しいところを失礼致しました。教えてくださりありがとうございます。」

彼女は淡々と答え、ハンカチで血を拭いその場をあとにした。

周りをよく見ると、自分以外には誰も人がいなくなっていた。

そう、自分が知らなかっただけなのだ。この街のシスターは飛び抜けて強い女性であるということを。遠くから彼女を眺める人々がいるのが分かったが、どの目も怯えているような表情であった。

仕方がないように思う。彼女は凍てつくような目をしていたように自分も感じたから。

もう会わないようにしないと、そう思いながら彼女の後ろ姿を眺めていた。そう、、、眺めていたのだ。何故目を離すことが出来たかったのだろう?


これは、ある街に暮らす赤のシスターの物語なのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

血染めのシスター 碓氷スノウ @snow0714

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る