第7話
リサイタル後、私は、5年前に少年と出逢った「星降る丘」の頂上へと向かった。グランドピアノを象った石碑には、”
ピアノの神様に愛されながらも、不治の病で夭逝した天才ピアニスト、
彼の命日である今日、「星降る丘」内に併設されている、彼の名を冠した「駿星ホール」にて、彼を偲ぶリサイタルのピアノ奏者として選ばれたことを、私は誇りに思った。
「ねえ、今日のお姉ちゃんの『星の夜』の演奏どうだったかな?」
「まあまあかな……まだまだ、だけどね」
したり顔をした少年が、一瞬見えた気がした。
昼間の熱気を帯びた生温い風が、ふわり、と丘を駆け抜けた。
星明かりに誘われるようにして、月見草の花が騒めき始めた。
Fin
星降る丘の少年 喜島 塔 @sadaharu1031
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます