ある月の夜、テラスで負傷した獣人と出会う王太子妃アウラ。事情により城の者たちから疎まれる存在である彼女は、その獣人の彼に手を差し伸べる。それが彼女にとっての、最初の一歩です。
お話が進むにつれ、アウラの置かれた状況やその理由が明らかになっていきます。魔法大国であるマギア王国の王女であり、嫁がされたとはいえオルディナリ王国の王太子妃であるのがアウラです。そんな彼女は、酷く自己肯定感が低い。すでに諦めの境地に至っており、与えられた鳥かごが居場所だと思うような女性です。
そんなアウラですが、獣人の彼――ジルと関わり、ジルの仲間たちと言葉を交わし、彼らの生き方に触れることで、その心境を変化させていきます。ほんの小さな一歩を、ひとつひとつ、頑張って踏み出そうとするのです。
人物描写が丁寧で、それぞれにとても味があります! 台詞回しが巧みで、そこから彼らの関係性を垣間見せてくれたり、色々と想像させてくれたりします。
何よりアウラがいじらしくって、ジルも可愛い!
これから、を見てみたいなぁと思わせてくれるお話です。
お薦めします(^^)!