主人公が十数年振りに会った過去の女性に強烈なフォビアを植え付けれれる話。
喫茶店で会話をしながら、必要なら過去の記憶を呼び起こし、店内にかかる音楽で調子を整え進むシンプルな構成。そのシンプルさと対比するように文章のリズムやモチーフの選択に独特のクセがあり面白い作品。
この話の最もおもしろいところは「ずいぶん昔の合意の上の過ちと無責任」を、オンブロフォビアという理解し難い「特異性を持った女性」の「真意の読めない詰め」により本来の何倍も怖いものになっているところ。そこに小説としての魅力を感じました。