『愛する者へ、クリスマスに死を贈る』

小田舵木

『愛する者へ、クリスマスに死を贈る』

 降りしきる雪が。君を真っ白に染め上げていく。

 僕はそれを見やる。君だったタンパク質の塊は。今や死体へとゆっくり変わっていく。

 僕は君を殺さざるを得なかった。じゃないと僕が死んでいただろうから。

 時はクリスマス。子どもたちがプレゼントを貰う日。僕は君に死を贈った。

 あまり素敵なプレゼントとは言えないが。メリークリスマス。

 可能であれば。君が静かに眠れることを祈る。

 だが。それは叶うだろうか。君は殺しても殺しても『蘇って』くるのだ。

 一体、何回きみを殺しただろうか。今年に入ってから三度は殺したはずだ。

 仏の顔は三度までと言うけれど。四度目を迎えた今、僕は怒る気にもなれない。

 だってさ。一応は友人なのだ。たった一人の異性の友達。

 淡い恋心がなかった訳ではない。

 だが。その恋心は届くことはなかった。

 

 空を見上げる。黒い夜に白の粉雪のコントラスト。

 一応はホワイトクリスマスになるだろうか。だが。僕のクリスマスにはロマンス一つありはしない。

 なにせ、手には金属バットを持っているからね。

 こんなモノ持って異性に相対してる男は僕くらいのものだろう。

 

 地に横たわる君―ひいらぎ美鈴みすず―は。血に塗れていて。

 白い雪によく映える。

 初めて君を殺した時は僕も動揺したものだが。今や慣れっこになりつつある。

 僕は美鈴の死体を見やって。しばらくは襲われないだろうと考えて。

 きびすを返す。放っておいても良い。どうせ、数時間後には『蘇生』する。

 そして彼女は僕を襲った事さえ覚えてないのだ。

 外に居る事に混乱するだろうが、どうせ適当に辻褄つじつまを合わせるだろう。

 

 僕は家路を急ぐ。

 さっさと帰って風呂に入りたい。

 数ヶ月振りの大喧嘩で汗に塗れている。

 クリスマスの街?知った事か。

 

                  ◆

 

 美鈴が。『蘇る者』になったのは去年のクリスマスの事である。

 あの頃の僕は平凡な少年、高校生であり。

 冬休みを満喫していたのだが。

 美鈴に急に呼び出されたのだ。

 晴天の霹靂へきれきである。美鈴とは中学時代からの付き合いだが。特に恋仲であったという事はない。

 お互い名前呼びする程度には親しかったが。付き合うとまではいっておらず。微妙な関係を続けていた。

 

 僕は美鈴からのメッセージを読んで心臓がガクンと動くのを感じた。

 ついに。僕らの仲が進展するかと思っていたのだ、呑気な事に。

「夜に公園で」簡潔なメッセージ。美鈴はあまりしゃべる女ではない。

「了解」簡潔なメッセージに簡潔な返事を返し。

 

 ああ。今夜からは。僕は美鈴と付き合うのかも…

 なんて。浮かれ倒してワクワクしながら夜を待った。

 その先に待ち構える過酷な運命を知らずに。

 

                  ◆

 

 僕は待ち合わせに遅刻する男である。

 この癖は治らない。どうしても用事の手前に便意を催したりする。

 緊張に弱い体質なのかも知れない。それに今日は冷えるしね。

 

 僕は駆け足で公園へと急ぐ。

 すでに十数分遅刻しているのだ。

 僕に対する美鈴は。待ち合わせの10分前には到着する女であり。

「絶対、アイツ居るよなあ」僕はつぶやく。返事はない。この街は田舎なのだ。すれ違う人さえ居ない。

 

 僕は公園に到着すると。

 辺りを見回す。平凡な公園だ。ブランコにシーソー。ジャングルジム。子どもの頃からお世話になった公園。

 街灯が暗い公園を照らしている。

 美鈴が見当たらない。珍しい事もあるもんだ。

 今日は僕がアイツを待つことになるのだろうか。

 

 僕はなんとなしにジャングルジムに上る。

 この上からなら美鈴が来てもすぐ見つけられる。

 クリスマスの夜は晴天で。空には月があり。黄色のそれは夜を照らす。

 僕の胸は高鳴っている。おそらくは緊張のせいで。

 だが。そこに混じる一抹の不安。言いようがない不安。

 今、思えば本能が警告を告げて居たのだが、僕は気づかず終い。

 

 数分は待った。

 もしかして美鈴は呼び出した事を忘れているんじゃなかろうかとさえ思った。

 スマホを取り出し、メッセージアプリから美鈴に電話をかけるが。応答はない。

「クリスマスプレゼントにドッキリかよ?」僕は一人つぶやく。

 その言葉は暗く澄んだ空に飲み込まれていく―

 

 と。僕が思った瞬間。ジャングルジムの下に人の気配。

 僕は視線を落として。そこに美鈴を認めるが。

 何かがおかしい。アイツなら一声かけてくるはずなのだ。

正雪まさゆきくん、待たせたわね」と。だが、その声はない。

「美鈴?お前、僕を待たせて何がしたい?」なんて僕は声をかけてみるが。

 返事はなく。その代わりに荒い吐息が返ってくる。

 …これは?まるで映画のゾンビみたいだ。

 

                  ◆

 

 僕はジャングルジムの上で固まってしまう。

 妙な美鈴。そして荒い吐息。

 明らかに普通の美鈴とは違う。まさか―告白するドキドキでああなっている?

 んな訳あるか。美鈴は大人しい女の子のはずなのだ。

「美鈴?悪ふざけはよせ、な?」僕は下に向かって言葉を投げかける。返事を期待して。

 だが、彼女は荒い息をするばかり。こりゃあ。冗談では無さそうだ。

 僕はジャングルジムを降りようかと思ったが。本能が告げている。

 ―安易に下に降りるべきではない。

 んじゃあ?どうすれば良いと言うのか?誰か教えてくれ。百円あげるから。

 

 下にいる美鈴は。頭を下げた状態で顔を伺う事が出来ない。

 僕はジャングルジムにはりつけにされかかっている。

 時が止まったかのようなような錯覚。体が強ばるのを感じる。

 頭は真っ白になりつつある。想い人が何かおかしい。

 全く。クリスマスだと言うのに。僕はとんでもない目に遭おうとしているらしい。

 

 ジャングルジムの上と下。僕と美鈴は分かたれて。

 相対して数分。状況は動いてないが、状態は悪くなっているのがなんとはなしに分かる―

 

 美鈴が。

 ついに動き出した。ジャングルジムを上ってくる。

 その時に顔がチラリと見えた。眼が座っていた。明らかに尋常な眼ではなく。

 僕は怖気づいてしまい。その場で固まり続け。

 上ってきた美鈴と顔を合わせる。

「アグレッシブなジョークだ」僕は軽口で彼女をいなせないか試して。

 その試みは失敗する。彼女はすかさず僕の首を締めようとしてきたのだ。

 僕はその手を掴んで抵抗するが。いつもの美鈴の力ではなかった。

 

 僕は美鈴との力比べに負け。彼女に首を掴まれて。

 気道が締まるのを感じる。酸素の供給が止まる。

 僕は薄れいく意識の中で美鈴を見やるが。その顔は力なく、何の感情もこもっていない。

 まるで能面みたいだ。こんな無表情で人を殺すヤツが居るのかよ?なんて阿呆な考えが頭を過ぎる。

 

 僕は意識を手放しつつある。

 このまま、恋した人に殺されるのだろうか?

 ああ。短い人生だった。幕を閉じるのがよりによってクリスマスとは。

 美鈴。お前は何を考えているんだよ?

 選りに選ってお前に殺されるハメになろうとは。

 

 僕の体は反射的にもがき始める。

 ジャングルジムの上でもがくのはよくない。隙間にハマって落ちなねない…

 なんてしている内に。僕は正面に向かって蹴りを放っていた。

 それも両足で。思いっきり。

 正面に居るのは。美鈴で。僕の放った蹴りは美鈴の体を打つ。

 

 そして。

 しっかりを僕の首を締めていた美鈴の両手は離れる。

 それと同時に。美鈴の体はジャングルジムの外側に放り出される。

 

 ゆっくりと時間が流れた。

 美鈴は頭を下にして落っこちていき。

 僕はそれを見送る。薄れた意識の中。

 ああ、やってしまった。

 鈍い音を立てて美鈴は地面に落っこちて。

 頭をしたたか打って。そこから血が流れる。

 

「美鈴ぅ…」意識を半分取り戻した僕は呼びかける。自分が蹴り落とした女に。

「…」もちろん返事はない。そりゃそうだ。襲われたから反射でああしてしまったが。僕は今更ってしまったな、と思う。

 だが。僕はそのまま意識を失ってしまった。

 美鈴のヤツ。結構力いっぱい首締めてくれやがったからなあ…

 

                  ◆

 

「正雪くん?」美鈴の声だ。今はひどく懐かしい。

「ああん?」僕はこたえる。さて。ここは何処か。

 僕は眼を開ける。そしてジャングルジムの上に居る事を思い出す。

「なあ。美鈴?」

「何?」

「お前さ…」と僕は言いかけるが。?なんて聞けない。だって眼の前の美鈴は動揺しているから。

「うん?」美鈴は俺の顔を覗き込み、首元に眼をやる。そこには締めあとがある。

「珍しく待ち合わせに遅刻したじゃんよ?」

「みたいね」

「んで?何があった?」僕は平静を装って聞く。本当は問い詰めたいのだが。

「なんかね。ここ数時間の記憶がない」

「…さよか」彼女はあの事を覚えていない…らしい。僕は少し安堵する。マジで殺しにきてたらショッキング極まりない。

「そうなの。一体どうしちゃったんだろう?私?」

「冬休みの宿題で根詰めすぎたんだろ。きっとそうに違いない」僕は半ば自分にも言い聞かせる。

「そう思いたいけど。なんかね、頭が痛い」彼女はジャングルジムの上から落ちてしたたか頭を打ったはずだ。僕のせいで。

「ちっと見せてみ。頭の後ろ」僕は言う。傷を見ようと思ったのだ。

 

 だが。彼女の後頭部には傷もなく。

 さっきの出来事は白昼夢のように思えてくる。

 だが、確実に僕は彼女をジャングルジムから蹴落とした。

 そもジャングルジムの上で眼を覚ましているし。

 

「後頭部が何?」彼女の後頭部。まっさらな後頭部。

「いんや。何でもない」

「いや。何かはあったでしょ?」彼女は不満げに問うが。

「僕ら二人で白昼夢―夜だけど―を見ていたらしい」

「…不思議な事もあるものね?」

「まったくだ。さっさと忘れちまおう」

「クリスマスの夜ってのが忘れがたいけど」

「まあね…で?なんで僕を呼び出した?」僕は息を整えてジャングルジムの上に立ち上がる。少しふらつくがダメージは深くないらしい。

「…なんでだっけ?」彼女は不思議そうに問う。僕に問うな。

「ま、いいや。帰ろうぜ。送ってく」

 

 こうして。僕の高1のクリスマスは不穏な出来事と共に終わり。

 これが美鈴の異変へと繋がっていく。

 

                  ◆

 

 この先の出来事は。書かなくても想像出来るのではなかろうか?

 僕は美鈴に定期的に襲われるようになったのだ。皆様の想像通り。

 そして、僕はその都度、美鈴を退けた…いや、殺した。

 だって。そうしないと。美鈴は僕を殺しかねなかったからだ。

 毎度毎度、僕は彼女に殺されかける。だから僕は反射的に彼女に反撃するが。

 ここまで毎度毎度、殺してしまうのだ。じゃないと美鈴は止まらない。

 

 僕はいい加減、美鈴を殺すのに慣れつつある。

 どうしてか?彼女は殺しても『蘇る』からだ。

 一度、ナイフで滅多刺しにしてみた事さえある。

 だが、彼女の刺し傷は。再生していた。念の為、彼女の側で見守っていた僕の眼の前で塞がっていった。

 ああ。彼女は化け物だ。

 僕は彼女に『蘇る者』と名付ける。由来は聞かなくても分かるだろう?

 

 分からない事もある。

 何故、彼女が僕を襲うかだ。

 彼女は無差別に人を襲わない。ターゲットは僕だけなのである。

 困ったものである。もしかしたら、僕は


 愛ゆえに殺す。殺して永遠に自分のモノにする。


 なんて。僕の思い込みだろうか?それは分からず終いだ。なにせ、蘇る者としての美鈴は口を開かないからだ。

 

 僕の高校生活は、静かに過ぎゆく。

 その側には美鈴も居る。僕は彼女に一連の出来事を詳しく説明していない。

 どうやって説明すれば良いのか?それに被害者は僕だけだ。

 内々で始末をつけてしまいたい。

 

 これは。

 僕なりの愛である。

 僕は僕を殺そうとする美鈴を受け止める。そして殺して手を止める。

 荒々しいデート。ロマンスの欠片もない。

 だが。僕ら二人だけの秘密は。僕らを強く結びつけるような気がした。

 

                  ◆

 

 僕たちの高校生活は。殺し合いに彩られた。

 もう僕たちは高校3年生で。そろそろ受験を迎えようって時期なのだが。

 僕には受験以上に気にかかる事がある。

 

 美鈴ののだ。


 最初の頃はは1、2時間で治っていた傷が。今では半日近く経たないと治らなくなっている。

 

 僕はそれに対して仮説を立てる。

 …もしかすると。彼女の再生は彼女の命を使って行われているのではなかろうかと。

 

 体を構成する細胞には分裂限界がある。これはイコール寿命で、ヘイフリック限界と呼ばれる。このヘイフリック限界を克服した細胞は僕の知る限りがん細胞しかない。

 だが、がん細胞はヘイフリック限界を克服した影響か、秩序のある器官を構成しない。

 美鈴は。細胞分裂のサイクルを破壊することで、驚異的な再生能力を得ているのではなかろうか。

 と。なると。僕が今までしてきたは最悪のモノである。

 彼女の細胞を食い尽くしているようなモノである。

 

 ああ。今更気付いても、遅い。

 僕は愛ゆえに。彼女を受け止めてきた。

 だが、それは拙い方法で。

 このままでは。彼女は死ぬだろう。

 だが、襲ってくる彼女を放っておけば、僕が死ぬ。

 僕は彼女の手を汚したくない。僕の手はいくら汚れても良いが。

 もし。彼女が死す運命にあるのなら。僕が殺してやる。

 それが僕に出来る最善の道のようにも思える。

 だって。『蘇る者』としての彼女は制御不能なのだから。

 

                  ◆

 

 彼女が『蘇る者』と化して三度目のクリスマス。

 僕は受験勉強をしていたが。やっぱりと言うか、彼女に呼び出される事になる。

 僕は慣れた調子で彼女の呼び出しメッセージに応答し。

 部屋の片隅にある金属バットをケースにしまい、ケースを背負って。

 呼び出し先の公園へと歩いていく。

 ああ。今夜がヤマかも知れない。選りに選って初めて襲われた公園に呼び出されるとはね。

 

 僕は公園に到着すると。初めての時みたいにジャングルジムに陣取って。

 空をなんとなく眺める。

 僕が住む九州の北端は。日本海に面しているせいか意外と寒い。

 だが、今日、雪は降るだろうか。降るとしたらホワイトクリスマスである。

 そんな日が美鈴の命日になるかも知れないと思うと、微妙な気分だ。

 本当は。美鈴を生かしてやりたいのだが。僕はその方法を思いつけなかった。

 やってることは対処療法であり、それは最悪の手で。

 自分の無力さを感じる。とことん駄目なヤツだなあ、と思う。

 僕に知恵があれば。彼女を救えたのかも知れない。

 僕に勇気があれば。彼女に命を捧げる事が出来たのかも知れない。

 だが。僕は矮小わいしょうな人間で。

 でも、美鈴をどうにかしたくて。

 結局はこうなってしまった。

 

 僕は背中に背負ったケースからバットを取り出す。

 コイツで何度美鈴を殴った事か。

 硬い頭蓋骨を叩き過ぎたせいでバットはベコベコであり。

 それは僕のしてきた拙い対処を思わせる。

 

                  ◆

 

 美鈴は。

 いつものように現れる。

 僕だって、いつものように向き合って。

 結局いつもみたいに殺してしまった。

 じゃないと美鈴の手が僕の血で汚れるから。

 

 僕は地面に横たわった美鈴の死体を見やる。

 ああ。今回も後頭部にフルスイングを入れちまった。

 頭蓋骨が凹んでいて。そこから鮮血が滴る。

 僕はその側に座り。

 物思いにふける。

 

 美鈴。お前と出会ったあの頃から。

 僕は好きだった。君の事が。

 だけど、意気地なしの僕は。ずっと思いを伝えられずにいた。

 そんな僕を。受け入れていたのだろうか?彼女は。

 そんな事さえ聞けない。もう5年は付き合いがあると言うのに。

 

 そんな事を考えていると。

 空から粉雪が降ってくる。

 粉雪は美鈴の死体に落ちて。溶ける。まだ死にたてだ。体温が残っているのだ。

 粉雪は降りしきる。僕の顔を打つ。

 だが。僕はここから動かない。今回は。彼女が再生するか見届けなくてはならない。

 

 雪は止まない。

 しんしんと地面に積り始める。

 そして美鈴、彼女にも積り始める。

 ああ。もう数時間は経っちまったのか。

 

 とりあえず。

 風邪を引く前に。自販機でコーヒーを買ってこよう。

 寝るわけにもいかないしね。

 

                  ◆

 

 雪は一晩中振り続けた。

 僕は美鈴の死体の側に座りながら、それを眺めていた。

 まるで走馬灯のようだった。

 空から美鈴との思い出の日々が降ってくるかのような錯覚。

 僕はそんな走馬灯を見ながら。彼女の死体を見守り続けたが。

 彼女の傷は再生する素振りを見せない。

 …やっと現実に戻ってきたかのような錯覚。

 そう、ヒトは一度死んだら、そのままなのだ。

 

 僕は自分がやってきた事、やってしまった事に思いを馳せる。

 間違っていた。だが、僕は間違わざるを得なかった。

 愛ゆえに。殺しに来る美鈴を受け止め、殺した。

 ああ。僕こそが。

 歪んだ頭蓋骨に似合う歪んだ愛の持ち主。それが僕だ。

 

 降りしきっていた雪。

 それは明け方に止んで。

 僕は白日を待つ。僕がやってしまった事を照らし出す太陽を。

 ああ、美鈴。ごめんな。

 僕は馬鹿だったよ。お前を受け止めているつもりだったが、一番拙いやり方だった。

 美鈴の死体には雪が降り積もり。真っ白い固まりになっている。

 それはまるで土葬した死体だ。

 僕が彼女を土に追いやったのだ。

 だが。僕は君を愛しているから。歪んだ方法でも君を受け止めるしかなかった。

 

 白日は照らす。

 真っ白になった地面を。

 そして。愚かな愛を全うした男を。

 そして。愚かなな愛に殺された女を。

 

 僕は白日を睨みつける。

 光が目に沁みて涙が出てくる―いや。彼女を殺してしまった事を今更思い知って泣いている。

 

 こうして。

 僕の高3のクリスマスは終わる。

 彼女の死と共に。

 永遠に忘れる事はないだろう。

 

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『愛する者へ、クリスマスに死を贈る』 小田舵木 @odakajiki

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