ひとりの脱走兵が、仮死状態の少女と出逢いました。

ハルシオンって、ご存知ですか?

中毒性の高い睡眠薬で、乱用者が相次いだため、使用を禁止されている国もあるほどです。

本作の主人公の脱走兵は、仮死状態の少女にハルシオンと名付け、ともに生活しはじめます。

彼はなぜ戦争から逃げたのか。
そしてなぜ、物言わぬ少女のもとを離れなかったのか。

剛と柔、具体と抽象、それぞれの方向から描かれるこの脱走劇は、やがて佳境を迎え……。

詩性、批評性、物語性のすべてが非常に高いレベル揃っていて、文学が好きな人に絶対お勧めしたい作品です。