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第1話
なぜだろう?
楽しいことのあとに襲って来るむなしい気持ち、これってなにか病名があるのだろうか? それならいっそのこと楽しいことを止めればいい?
それはそれでつまらない、快楽なしで生きるなんて有り得ないよね? そんな話を、一人、部屋の中で、ベットに横たわるお人形さんに呟いた。
それにしても、今日は物凄く疲れた。マッチングアプリで会った瞬間からときめいちゃって、ちょっと夢中になりすぎたかな? 空腹を忘れるくらい満たされたの? なんてね。
そんなことを考えていたら、本当にお腹が空いた。
やっぱり
私は台所に行き、テーブルに置いてあった、今夜食べる予定だったはずの、ラップがかかった、ナポリタンを見つけレンジで温めなおした。
その間、冷蔵庫を開けると、二本の缶ビールを見つけ、あまりお酒は強くないけど、せっかくだからと、一本手に取り、プルトップを開け、一気に喉に流し込んだ。
ちょうど、レンジが、チンと出来上がりの合図をした。
ケチャップの甘酸っぱい香りがレンジから漂い、やけどをしないように、両手を、砂漠のトカゲのように交互に持ちながら、テーブルに置き、口の周りを、まるでジョーカーのメイクの如く赤くしながら、ナポリタンを堪能した。
満腹で、ホッと一息つくと、瞼に文鎮がぶら下がったように睡魔が襲って来た。
今日はもうこの部屋で寝ることにしようと、ベットに向かった。
すると、お人形さんの下から、スマホのライン通知の音が鳴った。
誰だろうこんな時間にとお人形さんから、スマホを取り出し、画面を見ると、
美月からのラインだった。
《陽菜よ、起きてるかな? 明日さぁ、悪いんだけど一時間ずらす》既読
ん? どういうことだ? さっぱり分からないけど、一応確認のため返信した。
陽菜【明日って、何だっけ?】既読
美月【何言ってるの? タコパだよ、バーカ】既読
そうか、美月と、たこ焼きパーティーの予定があったのか。
私は、すかさず返信した。
陽菜【ごめん。忘れてた】既読
美月【ボケぇー。もしや今日のマッチング、成功だったとか?】既読
陽菜【ピンポーン】既読
美月【マジで?】既読
陽菜【マジ】既読
美月【じゃあ明日連れてきてみ】既読
陽菜【いいよ】既読
美月【即答?】既読
陽菜【美月が大丈夫なら】既読
美月【全然大丈夫。どんな人かあって見たい】既読
陽菜【じゃあ、彼氏に聞いてみるよ】既読
美月【彼氏? 今日会ったばっかりでもう彼氏呼ばわり? 浮かれてない?】既読
陽菜【多分、全面お花畑にいる感じだと思うよ】既読
美月【チィ。メルヘンかよ。じゃあ明日、うちに来たらジャッジしてやるよ】既読
陽菜【望むところよ】既読
美月【一応、具材とか全部用意してるから、飲み物よろしく。で、五時だったけど、六時にきて。 もし早く着いたら、いつもの水道メーターの上に鍵置いとくから、勝手に入って飲んでていいよ】既読
陽菜【り。ところで、美月んちって住所どこ?】既読
美月【は? 何回も来てんだろ?】既読
陽菜【違うって、待ち合わせで彼に送ろうとおもって】既読
美月【彼ねぇ~。だったらさ、位置情報の共有アプリ、共有してやったら?】既読
陽菜【そうか、じゃあそうする。明日楽しみにしてるね】既読
美月【り】既読
なんかホント、便利な世の中になったもんだ。アプリ一つで居場所が共有できるなんて、なんかいいよね友達って、美月からのラインで、あの楽しかったあとの
とりま、明日は美月と楽しい時間が過ごせそうだ。なんだか、遠足を前日に控えた小学生のような気分になった。やっぱり、持つべきものは友達だよねと、また、ベットのお人形さんにつぶやいた。
時計をを見ると、可愛らしいミッキーマウスの両うでが、GO! と言わんばかりに、午前三時を指していた。
私は、弾む心を抑えながら、明日の英気を養うために、眠りに付いた。
次の日。
私は、先に美月の家を訪れ、二人で、たこ焼きパーティーを楽しんだ。
酒を飲み、アツアツのたこ焼きをほうばりながら、お互いの近況を話しながら楽しい時間がどんどん過ぎて行った。
しかし、あの
美月も、初対面の陽菜の彼氏と出会い、緊張もあったのかお酒も進み、すっかり酔いつぶれてしまった。
でもしかたない、これからちょっと後片づけは大変だけど、一杯飲んだし、一杯食べたし、一杯やったから、美月が眠ってる間に、お片付けをやるとしますか。
でも、この後片付けが終わると、またあの、言い知れぬ
人と言うのは本当に複雑な性格の持ち主だ。
好きなのに遠ざけたり、嫌いなのに、おべっかを使う。
おそらくは、地球上最も飼育しにくい動物なのかもしれない。
そんなことを考えていたら、テーブルに無造作に置いてある美月のスマホからラインの通知音が鳴った。
誰だろう? まずその思いが先行した。
でも、人のスマホを見るなんて、と思いつつ、美月の交友関係が、無性に気になった。
寝ている美月の傍らで、スマホの画面を覗き見た。
まひろ【美月、タコパ盛り上がってますか? 今日行けなくてごめん】既読
そうか、これは美月の友達? まひろも呼ぶつもりだったんだ。それは、残念だけど、まだ夜も長い、今からでもさそってみようと、美月のスマホから返信した。
美月【まだ、まだ盛り上がってるから、今から来ない?】既読
まひろ【ごめんね、まだ仕事で、明日なら、休みなんで、もしよかったら、陽菜さんとその彼氏さんと明日うちに来てタコパの続きで鍋パやろうよ?】既読
あ~、何だろうこの幸福感。そうか、やっぱり、次の予定ができると、何故か、心が躍る。
あの、
美月には申し訳ないけど、私は、美月に変わって勝手に返信した。
美月【鍋パいいね、陽菜の彼氏も是非っていってるし、いいよ】既読
まひろ【ちなみに、陽菜さんの彼氏さんてどんな人? なんか、B系とかだったら苦手なんだ】既読
美月【それない。陽菜が選んだ彼氏だよ? メチャクチャまじめで優しいよ】既読
まひろ【安心したよ。じゃあさ、明日の夕方五時くらいは大丈夫?】既読
美月【り、みんなオーケーだって】既読
まひろ【返信はや】既読
美月【直接、家に行くわ】既読
まひろ【合鍵持ってるよね?】既読
やば、美月のふりしてラインしてたけど、合鍵はわからないな、謝って陽菜だよってバラそうかな。
あ、そうだ思い出した。美月ってちょっと前までルームシェアしてたって、さっきの会話で話してたよな、でも…… 眠ってる美月を起こすことも出来ないし、適当に返信しておくか、
美月【わかんない。でも探してみるよ】既読
まひろ【わかった。じゃあ、とりま鍵が見つからなかったら、いいよ。ポストの中に貼っとくから、勝手に入ってていいよ】既読
美月【り。あざまる。じゃあ明日ね】既読
まひろ【ワクテカ】既読
あー、なんかこうやって誘われるのってやっぱりうりしいな。
美月には、内緒で勝手に約束しちゃったけど、どうせ一緒にいくんだからいいよね? 私にとっては、明日の予定が出来たおかげで、あの、忌々しい
このままいけば、いろんな人と交流が出来るかもしれないと思うだけで、恍惚感に浸れた。
次の日。
はやる気持ちを抑えきれず。早々とポストのなかにあった合鍵でまひろの部屋に入り、まひろの帰りを待つことにした。
まひろの部屋は意外にも、殺風景な部屋で、女子力ゼロの印象だった。でも、まあ、美月の友達は、インスタとかで見たら、みんなかわいい子ばっかりだったから、そうそう残念なことにならないだろうと期待に胸を躍らせた。
アパートの共用部から足あとが聞こえ、部屋の扉を開ける音がした。
「美月、来てたの?」
と野太い男の声がした。
男は玄関で部屋にいる私を見るなり、
「誰だおまえ?」
と、物凄い形相で歩み寄って来た。
私は、一瞬ビックリしたが、
「私、美月ちゃんの友達の陽菜の彼氏です」
と冷静に伝え、
「今日、ここで、まひろちゃんと、鍋パやる約束だったのでお先にお邪魔してたんです」
「まひろちゃん? なれなれしく呼ぶなよおっさん。気持ち悪いんだよ。ていうか、美月と陽菜ちゃんはどうした」
「あ~、今、買出しに出てるので、多分後から来ますよ」
「後から? あんた本当に陽菜ちゃんの彼氏かよ」
突然、そんなことを言われたので、私は、一瞬、部屋にある鏡をみた。
もう四十か…… 髪も薄くなり、おっさんと言われても返す言葉がないな。確かにあのお人形さん達とは不釣り合いだよ。なんておもいつつ、今更本当のこと言っても意味はないとあきらめた。
「それよりあなたこそどなたなんですか?」
と私は気を取り直し尋ねた。
「美月の彼氏だよ」
「ああ、彼氏さんだったんですね。私もここでまひろちゃんに招待されていまして、あなたも鍋パに呼ばれたんですね?」
「だから、さっきから、まひろちゃんとか気持ち悪いんだよ、俺の名前気安く呼ぶなよおっさん」
「俺の名前? あなたがまひろちゃん?」
「そうだよ。真に大で真大だよ。あんた何か勘違いしてねぇか? メチャクチャ怪しいぞ。今、美月に連絡して見るからちょっと待ってろよ」
と、真大が、スマホを取り出し、電話を掛けた。
すると目の前にいる私のの懐から、着信音が鳴った。
驚いた真大が、狐に化かされたような、放心状態になっている。
私は、すっかり開き直り、懐のスマホを取り出し、
「もしもし、美月だよ」
とおどけて笑った。
「あんた一体何者だよ」
と真大は、眉間にしわを寄せスマホを放り投げた。
「何者って、こっちが聞きたいわ、まひろとか紛らわしい名前付けてんじゃねえよ。女かと思ったじゃねえか」
と、私は少しイラっとして強い口調になった。すると、
「なんだとこの野郎」
と真大が、私の胸倉を掴み、拳を振り上げたその瞬間。
「グゲェ」
とカエルの鳴き声のような声を出し、真大が前のめりに倒れ込んだ。
私は、解体用の刃渡り三十センチの刺身包丁を握りしめ、
「変に期待持たせやがって、クソが」
と、倒れ込んだ真大の背中を何度も突き刺した。
真大は、まるで俎板の鯉のように身動きひとつしなくなった。
「あ~あ、これじゃあ折角の鍋パも台無しじゃないか、またあの
そう、残念がっていると、まひろが放り投げたスマホから、ラインの通知音が響いた。私はスマホを拾い上げ見てみると、
絵里香【真大さぁ~ 陽菜と美月が連絡取れないんだけど知ってる?】既読
私はスマホの光から一筋の光明を見た。まさに救いの神だ。長い間、釣り糸を垂らし大物がかかった時の釣り人の気持ちがよくわかる。私は、直ぐにスマホから返信した。
まひろ【ああ。共有アプリ見ればわかるだろ?】既読
私が、三台持ってるからね。と笑いそうになった。
絵里香【あー、みんな真大の家に集まってんだ】既読
まひろ【そうそう。みんなで鍋パやってんだ。良かったら来ない?】既読
絵里香【マジで? いいの? 行く行く】既読
まひろ【待ってるよ。ちなみに絵里香って女だよね?】既読
絵里香【何言ってんのバカじゃない。当たり前よ もう酔ってんの】既読
真大【まあ、ある意味ね。冗談だよ。マジ、みんなでまってるからさ、あ、あとそんな慌てて来なくてもいいよ】既読
絵里香【何で? まぁ、とりま、いまバイトだし、終わってからになっちゃうから、どのみち遅くなるよ】既読
まひろ【り それでよし】既読
良かった。片付けに少し時間がかかりそうだからな。
今度はさすがに、絵里香も男じゃないだろうし、
これでまた新しい楽しみができた。
絵里香が来る前に、このまひろとかいう紛らわしい男をさっさとお片付けするとするか、ガタイがいいから、てこずりそうだが、絵里香が来るとおもうとこの作業もまんざら苦にならないな、と、まひろを、風呂場まで引きずって行った。
待てよ、今日は絵里香もだ。
一日二人は大変だな。でも、何かをしていればあの
次に、絵里香もたくさん友達がいてくれると嬉しいなと自然と笑みがこぼれた。
そうすれば私は永遠にあの
完
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