エピローグ
ザッと、足音がした。
もしかして、ミライくん――?
そう思って、わたしは振り返った。
「なーのはちゃんっ! 何してるのー?」
なんだ、かおるちゃんか。
違ったな……。
「もしかして、ミライくんだ! ――って思った?」
「な、どうしてそれを……」
わたし、そんな顔していたでしょうか……。
「わかるよー! 恋する乙女の顔してるもん。ミライくんと会ったときから」
かおるちゃんは、はにかむようにほほ笑む。
まるで、「わたしは、菜乃葉ちゃんの考えがわかるよ」とでも言うように。
「本当に……その通りですね」
ミライくんは、今、どうしているでしょうか。
「んー……わかんないね」
「ユウハちゃんだけ、お別れできませんでしたね」
あのとき、ユウハちゃんは戻ってこなかった。
どうしてだろう……。
「……お別れ、だからかも」
「お別れだから?」
「うん……。さよなら、したくなかったんだよ。さよならって言わなければ、さよならにならないって――ユウハちゃんが言ってた」
そっか……。
みんな、お別れなんて、したくないもの。
それでも、別れは必ずやってくる。
だから、会えなくなった相手のことを願うんだ。
「幸せになっててね」
わたしは、そう呟いたのでした。
宇宙の果てに ねこしぐれ @nekoshigure0718
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