第30話 さようなら

 わたし達は、アイザード星へ戻った。

 キキくんや、幼馴染が出迎えてくれて、アイザード星の人々は、幸せそうに笑った。

「――えぇ!? 何その話!?」

 ミライくんは、争いの星での出来事を話した。

 みんな、本当に驚いていた。

 生まれ変わりの件、ミライくん達の話はこうだ。

・ミライくん達には、前世の記憶がある。

・前世で、ユウハちゃんは、アイザード星のお姫様で、名前は水姫。

・シュウヤくんは、水姫に仕えた炎舞。

・キララちゃんは、同じく仕えた花美。

・ミライくんは、同じく仕えた暗無。

・およそ3000年前、アイザード星は争いの星に襲われた。

・みんなは破れ、術を奪われるとともに、殺された。

・前世の記憶を持ったまま生まれ変わって、またもや争いの星にやられた。

 ……とまあ、話を聞いていると、頭がこんがらがってしまう。

「争いの星は、みんなにとって、因縁の相手だったわけだ」

「絆、さすが。簡潔にまとめてくれてありがとう」

 ななみが、ペコペコおじぎをする。

「そういうことだ。さて、僕はこいつを牢屋に放り込んでくるから、最後の時間を楽しんでいてくれ」

 ユウハちゃんは、水姫のお父さんをポンポンと軽く叩く。

 彼はうなだれている。

 鎧がないと、ヨボヨボのお爺さんだ。

 ユウハちゃんが、瞬間移動でいなくなって、わたし達は顔を見合わせる。

「最後の時間って……」

「お別れってこと……?」

「寂しいよ……」

 ななみと鈴那とかおるちゃんが、悲しそうにうつむく。

「そういうこと、かな」

「そりゃ、異星人との関わりは、長く続かないだろ……」

 絆はうなずき、夢叶は残念そうだ。

「楽しかったわ」

「俺は地球人にモテることがわかった」

「すごく楽しかったけど、アニマル星に帰らなきゃ……」

「……」

 異星人のみんなも、それぞれに気持ちを言う。

 ミライくんは、黙っていた。

 そして、わたしを呼ぶ。

「菜乃葉」

「はい」

 みんなが、わたし達に注目した。

「あのさ……俺」

「あ、あの、ミライくん!」

 わたしは、ちょっとまってと言わんばかりに、言葉を遮った。

「先に言わせて! わたし、ミライくんが好きです!」

 ミライくんは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。

「え……は……好き?」

「はい! 一目惚れしました!」

「な、なんだ、俺と一緒かよ……」

「へ?」

 今、俺と一緒って……。

「俺も、菜乃葉に一目惚れしました。すみません」

 どうして謝るのですか!?

「ダメそうなこと……だから」

「いいことですよ」

 その相手が異星人だから……これから、会えなくなっちゃうのだけれど。

 寂しいな……。

 会えなくなるなんて。

 嫌だな……。

「大丈夫。きっと、また会える」

「そう、ですよね。会えますよね!」

 わたし達は笑う。

 涙なんか見せない。

 お別れは、笑顔で!

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