あふれて、あふれる。

花野井あす

あふれて、あふれる

あふれて、あふれて

それはとめどなくて、止むことを知らない


歌が、詩が

耳を、目を、こころを潤わせて揺るがせる


音がそうさせているのかもしれないし

言葉がそうさせているのかもしれない


それはきっとなんの形であれ

掴んで離さないのだろう


水底にたまって淀んでいたものを

かき乱して呼び起こして


あふれて、あふれて

どこまでもあふれてゆく


すべてをかき消してゆく

洗い流してゆく


ぽっかりと空いた虚ろな穴だけを遺して

どこまでも溢れて流れてゆく



この穴を埋めるものが

きれいな海の色だといいのに


そう願いながらまた待つのだ



あふれて、あふれる



その日を

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あふれて、あふれる。 花野井あす @asu_hana

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