第4話 ゼロから始めるヒーロー生活
マジで頭おかしかったよ。
あんまり言いたくはないが、向こうの都合で呼んで、何も無いからブチ切れって……気持ちは多少分からなくもないが、コッチがキレたいわ。
とりあえず皆と同じ事はさせてもらえるようだが、上の立場の人間の目がキツい。特に、王様の言葉に同調する以外やってない貴族っぽいのがその傾向にある。
うむ、かなり前途多難な気がする。
____ジキルの戦士の一人称視点終了____
学生達の熱気は凄まじかった。
どうなるかも分からぬ人生が一転、英雄になりえる生活を送れるようになったのだ。
その中でも一際正義感が強い[職業:勇者]の少年は奮闘した。
正義を成すため動き、成長をしていくため、訓練に励んでいった。
故にと言うべきか、だからこそと言うべきか彼は悪意を見ることができなかった。正義にのみ妄信し、1握りの悪意を知ろうとはしなかった。
それを見る事ができなかったからこそ、別世界の
〈とある夜〉
月の光が差し込む暗闇に動く2人の青年、片方は様々な道具を準備し、片方は何も持たすに歩いていた。
「で、俺を連れてくるって事は訓練か?」
「そうだね、お前にも色々と見せるものがあるから。」
雰囲気自体は普通、どちらも友人同士であるように話し合っている。
「見せる物と言うと…未職とは別に、なんか力はあったとか?」
「そんな感じだね。それに、どうやら職業はあるみたいだからね。」
「おお〜良かったじゃん……で、」
「話は戻るが、[ゴーレム術師]の俺を呼ぶってことは実験台か?」
「言い方は悪いけど実験台になっちゃうだろうね、対人を想定した威力はほぼ無いし。」
職業【ゴーレム術師】
•土や木、石などを使用し魔法による構成、もしくは道具を使った組み立てにより製造可能な【ゴーレム】を扱うスペシャリスト。
魔法により操ることも可能だが、【ゴーレム術師】の方が効率が良く多数操る事ができ、近隣への運搬や土木作業関連の仕事に重宝されている。
いつの間にやら2人共歩く方向を変え、広いグラウンドのような場所まで来ている。
「んじゃ始めますか。」
「ん、始めるか。」
「[構築されろ大地よ、ゴーレム!!]」
現れたのは不格好ではあるが、人の形自体はしている土塊が立ち上がった。
「はっ、はーー……ほら、お前の番だぜ?」
力を込めすぎたのか青年はフラフラになっており、今にも倒れそうだ。
「え、お前そんなに力入れたのか…」
「……仕方ねぇ、すぐに終わらせてやるか…。」
そう言った青年の腰にはバイクのハンドル部分と、拳を催したような形のベルトが付いており、手にもカードを持っている。
「んじゃ行きますぜー」
カードをベルトへと挿し込む。
“Start Up...”
“BOXING” “BIKE”
“Combine!!”
ガッタゴット ガッタゴット
青年はアクセルをいれるようにハンドルを回す。
待つこと数秒、青年はその口を開いた。
「変身」
ベルトに着けられた拳が打ち合わせられ音を鳴らす。
それを合図にするように、辺りに浮かぶ装甲がその身へと向かう。
燃えるように赤い装甲が主を求めて飛翔する。
ソレが終わった頃に立っているのは、獣のような瞳をした1人の戦士である。
「10秒で終わらせてやる。」
その日、何処かの訓練用スペースに拳の形で大穴が空いたと言うが、ほとんどの人間は確かめようとはしなかった。
始めから異質な空気を漂わせていた。
異世界からの勇者を招くという案は勝手気儘な王の采配と、それにより甘い蜜を吸っている貴族達の賛成により決められた。
騎士団の力不足なのも認めるが、その一部の騎士団の騎士団長の座を息子達の為にコネで与える上、横暴な振る舞いで一般団員達を辞めさせるということが行われるからこそ質も上がらず人も辞めていく一方である事を分かって欲しい。
そう、国の為に戦う騎士団は想っていた。
だからこそ、いくらかばかり昔に英雄と呼ばれ、今は国を捨てようかさえ考えていた男はソレに気付けた。
呼ばれた際に発生した分かる者にしか分からぬ重圧と、少しばかりの闘争の香り。
そして____【英雄】と呼ぶに相応しき雰囲気を誰かから感じ取れた。
彼は願う。どうかこの国を導いてくれたまえ、どうかこの地を変えてくれ
【戦士よ】
そして、この暗い未来を行くかも知れぬ国に、一筋の光が投げ込まれ、運命の歯車が回り始めた。
______あとがき_________
今回使用されたベルトのなんとなくなイメージを近況ノートに貼っておきます。
異世界で憧れ抱いて行きましょか 面々麺綿免 @kakikaTa66bbdd
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