第3話 誰も知らない物語

 よりにもよってやらかした馬鹿が出てしまった。

 完全なまでの善意による安請け合いしやがったよ畜生。

 いや、まだ希望は潰えていない。平和な国に生きた我々に戦争に近しい行いをしろとは言わないであろう。

 ……気になるし聞いたほうが良いな。


「おい雄二」


「何だよメグ」


「さっきまで話し聞いてなかったんだが…どうなってる」


「えぇ…お前まじで言ってんのか?」


「マジマジ、けっこー大マジだよ。」


 かなり神妙な顔をしていることから結構不味いことに巻き込まれた気しかしないがどうなった。


「……とりあえず、悪魔族とか言う日本で言う地獄辺りにいる種族が、国どころか星滅ぼそうとしてるから何とかしてくれって感じだな。」


「Oh...」

「嘘だと言ってくれたまえよ親友。」


「残念ながら回避不能イベントらしいが?」


「くそったれめ、俺が生まれてこれほどまでに神を恨んだこと無いんだが。」


 はい、OUT。よりにもよっての中で前に出た馬鹿が1番最悪な選択肢選びやがった。

 確実に、100%と言うまでに善意に振られる王ならば良いが、そんなものいるはずがないのが問題だ。と、言うよりも別世界の人間誘拐して戦わせようとする輩に対し、マトモな精神性を求めるのがおかしいのだろうか。

 想定がまずい場合は、最良で皆が死な無い事、最悪で首輪着けられ囲われる事になる。そもそも、このパターンだとすると、全員前線があり得てしまうのも問題であり、ステータスを理解出来たのはゲーム的世界だと言えるだろうし恩恵もそれなりにはつくはずだ。

 しかし、それでもそれなりのサイズの生物を殺したり、殺されそうになった事が無い人間に対し「戦え」はいくら何でも無謀すぎる。


 ………覚悟を決めろ、あの戦士達のように。

 誰も失う覚悟が出来てない未熟な半端者の俺では何も成すことができない。故に、強くあれ強くなれ。





ん?何だ雄二。

は?職業鑑定…?




……………………未職ってなんやねん。

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