社畜、新メンバーを発表する

リノさんには改めてリノはその日のうちに正式なギルド加入が通達された。


さらにはもちろん、リノの後にも面談し、入った人もいるのでその人にも送っており、現在その人たち、通称第一期メンバーと俺とシロと晴翔の初期メンバーで集まっている。




……まぁ、作ってまだ1週間ぐらいなんだけどね?


それはさておき、現在俺たちは俺の第二の家とでも言えるSS級ダンジョン『結晶の洞窟』にやってきている。




「いやぁ、久しぶりだなぁ」




俺がそういうと立て続けにシロと晴翔が




「最近はずっと魔導人形ゴーレムの遺跡でしたからね」




「ここでの配信はなんか懐かしいですよね」




確かに晴翔は俺の配信をずっと追っていてくれてたからな。


社長の暴走に耐えながら……


ここはお疲れ様と言いたい。




で、だ。




「……お前らは一体何をしているんだ?」




俺は後ろを向きながらそう言った。




「い、いや、だって私初ダンジョンですよ? しかもSS級ですよ? いきなり最高ランクなのに緊張しないわけがないじゃないですか」




と、リノ。




まぁ、それもそうか。


初ダンジョンでいきなり最高ランクのSS級だとそんな反応にはなるか。


……俺は例外として。


その時俺は嬉々として狼サンドバッグをフルボッコにしていた。


いやだってさ?


俺知らなかったしね、ここが最高ランクのダンジョンなんて。


うん、仕方ないよ。




と、自己暗示をしたところで




「僕はそこまでですかね。というよりはダンジョンがこんな感じと知ってワクワクしてる感じです」




次に茶髪のちょっと子供っぽい顔の男、ディエントが言った。


続けて




「まずは立場の上の人からかなと」




高身長で黒髪のイケメン、リアスが真面目な顔つきで言った。




「だったらこい、今回はお前らの紹介なんだからな」




「え、ほんとですか!? やったぁ!」




「おい、兄貴、少しは落ちついてくれ」




ディエントがジャンプしそうになったところをリアスは注意しながら頭を押さえた。


どうやらこの2人は兄弟らしく、兄が自由奔放、そして弟がそれを反面教師として真面目になったらしい。




この2人も初ダンジョンだ。




もちろんこの2人も厳しい審査を乗り切っただけあり凄まじいスキルを持っている。




兄、ディエントはスキル、〝嗅覚〟を持っている。


これは身体強化系に入り、自身の危機感知、いわゆる第六感の能力を上昇させる。


そしてそのまま体が勝手に回避するらしい。




簡単に言えばオート回避、背後で見えない攻撃でも回避し反撃に転じれる凄まじいスキルだ。




弟、リアスも同じく凄まじいスキルを持っている。


こちらは支配系のスキル、〝予測領域〟だ。


なんと自分を中心に半径50メートルの空間内にいるすべての生物の動きを完璧に予測できるらしい。


それには攻撃も含まれる。


領域内に入った瞬間に気づくらしいから即座に避けて一方的な戦闘を演じれるというわけだ。




ディエントの方が弱く見えがちだが、リアスのスキルにはオート回避がないため、どちらもトントンの性能だろう。




俺はそんなことを考えつつも準備をして、配信を開始した。




「おっす、お前ら。今日は発表があるぞ! ……ん? 最近発表ばっかりだな」




〝こんちゃ!〟


〝よ!〟


〝今更すぎるw〟


〝今更なんだがw〟


〝もう遅いのだ……〟


〝発表祭りじゃあ!〟つ


〝祭りダァ!〟


〝発表キタァ!〟




「まぁ、発表の内容なんて各々気づいているだろうけどな」




〝おっと?〟


〝確定発言いただきました〟


〝これはもう確定では?〟


〝最近で発表することといえば……ねぇ?〟


〝あれしかないよな?〟


〝ギル……〟


〝↑おっと、そこまでだ〟


〝↑仲良いなお前ら〟




予想通りというか、当たり前というべきか視聴者はもうすでに内容に気づいていた。


というかここまで行って気づかなかったらやばすぎないか?


最近で発表できることなんて一つしかないもんな。




「というわけでもう気づいていると思うが今回は通称第一期メンバー、一番最初のギルド加入メンバーの紹介だ! 前に出てくれ」




「はいはいはーい!」




「わかりました」




「兄貴、少しは落ち着けって……わかりました」




各々の反応をしながら3人は撮影ドローンの前に並ぶ。


その瞬間にコメントが一気に加速する。




〝うぉぉ! これがストギルドに選ばれた精鋭3人!〟


〝なんか少なくね?〟


〝↑審査厳しいからな、倍率10数倍だったらしいし〟


〝↑高すぎ!〟


〝第一陣でも万は応募しているだろうし相当絞られたな〟


〝審査どんだけ厳しいんだよ〟




事実これが第一陣での選ばれた精鋭メンバーだ。


審査基準も伝えられたがはっきり言って意味わからないレベルでやばい。


基準は、レベル60以上、SS級ダンジョンにも通用する高性能スキルの所持。


これが審査される。




「今回は募集要項のスキルについての人物だけを連れてきた」




このSS級ダンジョンにも通用するというスキル。


何千人と応募があった中で残ったのはたったの3人だ。


それだけスキルの審査が厳しいということだろう。




〝何千っていただろうにたった3人……〟


〝とんでもなく強いスキルを持っているんだろうな〟


〝楽しみしかない〟


〝↑同じく〟


〝↑同じく〟


〝絶対にやばい(確信)〟




「まぁ、今回は報告だからな。とりあえずこの3人から心構えなどを言ってもらおうと思っている」




俺がそういうとリノが前に出て話し始めた。




「えっと、こんにちは? 私は探究者のリノといいます。今回はスキル枠でギルドに加入しました。自分でできるなりに貢献しようと思っています。よろしくお願いします」




〝うぉぉぉ!〟


〝かわいい!〟


〝あれ? なんでこんなまともな人が?〟


〝↑シロちゃんもいるぞw〟


〝↑いや、最近ストといるせいかおかしく思えてきて……〟


〝確かに〟




「えぇ!? 嘘でしょ!?」




シロが驚いてそう叫んだ。


え、なに?


俺が悪いの?


いや、そんなことはない……はず。




「はいはい! スキル枠のディエントです! よろしくお願いしまーす!」




〝こっちはおかしい〟


〝うん、間違いなくおかしい〟


〝なに? 子供? ……子供か〟


〝どちらにせよおもろいわ〟


〝まぁ、結局そうなんよ〟


〝ストのところには面白い奴しか来ないからな〟




「リアスです。この度このギルドに加入さてていただきました。自分のできることを精一杯やるつもりなのでこれからよろしくお願いします」




〝おお、まともだ……〟


〝いや、ディエントの頭を押さえて謝らせてるぞw〟


〝ディエント、親に抑えられる〟


〝マジで親子みたいなんだがw〟




「とまぁ、こんな感じだ。これからもギルドに加入してくると思うからその時を楽しみにしていてくれよ! じゃあな!」




そうして配信は終わった。


いやぁ、うん。


リアスがディエントの保護者に思えてきた。




「これからディエントを頼むぞ、リアス。マジで」




「……はい」




リアスはマジで深刻そうな顔をしながらそう言った。


やはりリアスもディエントの自由奔放さにはやばいと思っているんだろう。


いや、自由なのはいいんだけどね?


ちょっとやりすぎかなって思っただけだから。


うん……




「あれ? 俺この配信空気じゃね?」




ボソッと晴翔がそう言ったのが聞こえたけど聞かなかったふりをしよう。


……なんかごめん。

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ストレス発散のためにモンスターをフルボッコにしていた社畜、超人気配信者によって拡散される〜初ダンジョンだから知らなかったけどボコしたやつはSS級モンスターだったらしい〜 トラさん @tetoito

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