時は大正。舞台は吉原。
遊女たちの間には、どこか妖しい噂話がありました。
「堀の向こうには裏吉原があり、そこでは苦界の苦しみはないよ」と。
そこに突如発生した火事。
それは、下働きとして吉原の厳しい生活を送っていた主人公:音羽の生活を一変させます。
火から逃れる際に音羽は、思い出してしまうのです。
明らかに妖しいのに、どこか魅力的な「裏吉原」の噂話を。
火事と「表」の吉原から逃れるため、音羽は堀に身を投じます。
どうにかたどり着いた「裏吉原」なのですが。どうも噂話と違うらしく……
独特の雰囲気の作品です。「表」と「裏」の吉原という場所の放つ魅力なのでしょうか。作者様の描写の力もあり、作中の世界が音やにおいといった五感で伝わります。
この妖しい世界で、音羽はこれからどう生きていくのでしょうか? 先の展開がとても気になりました。