第12話 子羊の目覚め
気が付くと三年生の
「女優さんね」
「晴美」
「ごめんなさい」
台本を持った手を止め、恵人の方を見る慈代。
「本当よ。傷ついたんだから」
「ごめんなさい」
「慈代を傷つけるなんて、ダメなんだぁ」
晴美が微笑みながら、恵人を指差して言う。
三年生の
「恵人。あの日、慈代、泣きながらうちに来て大変だったんだから『家に行ったら恵人が瑞葉ちゃんとキスしてた』って夜まで泣いてたのよ」
「慈代を泣かせるなんてサイッテー。そんなことしてたら
和美がそう言って
そして、何か笑いながら、雅也の頭を
部長の
「今日は台本の読み合わせをします。
そして今日の練習が始まった。
その日の夜、瑞葉は、慈代とのキスを思い出した。
思い出すと、また、どきどきする。
何なんだろう、この感情は、今までなかった感情だった。
私は何か変なのだろうか? 忘れよう、眠って忘れよう。明日になればきっと普段通り、今日はいろいろなことがあって、私おかしいんだ……そう思い、目を閉じて眠った。
夢の中でも忘れられない……夢の中で美しい慈代が近づいてくる。慈代がいつも身に付けている香水の香りに、どこか別の世界へ
慈代の唇が自分の唇と重なる
瑞葉は
だめ、慈代さん……
慈代が唇を合わせてきた。身体が熱く溶けていく、気持ちいい
心臓が高鳴る
っ……かすかに吐息が漏れ
息が上がっているのがわかった。
そう思った瞬間、目が覚めた。
身体が熱い。身体の奥から全身にひろがる気持ちよさ……身体も心も興奮しているのがわかった。
どうしよう……これって……
その夜、瑞葉は憧れなどではなく、本当に彼女を好きになっている自分に気が付いた。
fin
子羊たちは眠らない KKモントレイユ @kkworld1983
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