第14話 邪教徒の女

俺には女難の相が見えると、会う占い師に次々と言われ続けてきたが…まったくもってその通りなんだろうと今も感じながらダンジョンの内部である一点を見つめていた。


「またか…」

「お♪ よぉ、愛しのシスターじゃねぇか! こんな所で会うなんて奇遇だなぁ?♪ なんだ? 私に会い来たのかぁ? ん~?」


と嬉しそうな表情で血みどろになったモーニングスターを振り回す、黒装束の女。

彼女曰く、機動性重視という事で所々肌の露出が多く…正直目のやり場に困る事もある―――のは昔の事。

見慣れれば、なんら問題はない。


「はっ…んなわけねぇだろ。 偶々同じ所にやってきただけだ」

「ちぇ~…ちょっと位、ノってくれればいいじゃねぇか~よぉ~」


そう告げる彼女の表情は少しつまらなそうだった。

しかし、こう…なんというかスタイルも抜群で見てくれもかなりいいレベルの彼女”アルク・ベルスタイン”はある一点をのぞき…そりゃ素晴らしい存在だ。


「つ~…わけで…犯罪者共をぶち殺しだぁぁぁ!! ぎゃはははは!!!」


何かを発見したのか、彼女は全速力で俺にも目をくれずその場を去った。

おそらくだが、モーニングスターに付いていた大量の赤い液体から察するに、ここへ逃げてきた”犯罪者”共の粛清にやってきたのだろう。


「流石は邪教徒、生贄か何かに使うつもりか?」

『贄…』

『…確定』

『何かを…召喚するつもり』

『邪龍…』

「はっ…ずいぶん物騒な名前が聞こえたな」


ま、とはいえ…あの女をどうこうするつもりも、奥で断末魔を上げる犯罪を犯した冒険者共も庇うつもりはない。

いや、生贄は大丈夫なのか? という問題に関しては、それが召喚されれば即座に対応するだけで別に大した問題ではない。


「というか、あの女も別に罪のない人間を巻き込んでるわけじゃねぇしな…」


人殺し!と言われればそれまでだが、実際問題どんな犯罪を犯したとしても冒険者の罪は一般の人間より軽くなる傾向がある。

それは、この社会自体がそういう構造だからだ…故にこっちとしても後で問題を起こされるくらいならこうして処理してもらっても問題はない。


『…悪魔』

『鬼』

『鬼畜』

『人の心…』

「まぁ、そうしたのはお前ら神なんだけどな? 俺も偽善者じゃないんだ、生かしておいて損する人間は即処分するに限るに一票だな」



そんなことをつぶやきながら俺は俺の仕事を全うする事にした。

というのも――――


「やめろ…やめてくれぇぇぇ!!!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


少しボロボロの装備でなんとか目の前の魔物に憑依した悪魔を討伐しようと努力する冒険者達。

しかし、彼らの武器は悪魔に通用する事なく無残に身体を悪魔に貪られる。


「お、おい…おまえ。 あれは助けなくていいのかよ?」


等と隣で休憩する黒装束の女アルクは俺に告げる。


「助けるも何も。 あいつは犯罪者だろ? なら、生かす価値はねぇな。 それに、あっちのがまとめてやれるだろ?」

「へへっ…相変わらずエグイ考えをする奴だぜ…あぁ、最高だ! おまえは! 濡れてきた…どうだ? 一発?」

「げ…お前なにしてんだよ…」


顔を真っ赤にしながら俺の下半身を弄ろうとしてくる彼女をなんとか押さえつけながら、俺は目の前の光景を見つめる。


「で? お前ら邪教の奴はアレを倒せるのか?」

「あぁん? アレって?」


すると、目の前で食われた人間―――それまで魔物の形をしていた悪魔は人を食べたからなのか次第に形を変えて行き。 


―――まるで人間のような見た目に変化した――


『GUAAAAAAAAAAAA』


「げ…あれは専門外だからパス。 それに、私達の様な邪教の人間はアレに対して力を与えちまう。 だから、逃げるが吉だな」

「はぁ…お前ら邪教の奴は悪魔みたいなやつだな。 普通の人間には悪影響を及ぼし…悪魔には力を与える。 最悪!」


俺は【ヘル&ヘヴン】を構えると即座に攻撃態勢へ移行する。

そして―――バババババババ!!


『GUAAAAAAAAAAAA!!!!』


目の前の悪魔は銃弾を受け断末魔を上げながら、後方へぐったりと倒れる。


「相変わらず、イカレタ武器だな…そいつは。 邪教の人間にまだ、存在がバレてねぇのが奇跡だぜ」

「まぁ、オレは神への信仰が薄いからな。 あいつらも見つけられないんだろう。 それにお前も俺の存在をばらしてないんだろ?」

「けっ…あたりまえじゃねぇか! おまえは私のものだぜ♪ 誰が渡すかよ!♪ ん~~」

「げ!! 何してんだ!」


どさくさにまぎれてキスしようとしてきたぞこいつ!!

あぶねぇ!!


「ほら! いいだろ!! ちょっとくらい! ん~!!!」

「だれがお前とするか!! 放せ! そのまま最後まで行くきだろ!! 神共ぉぉ! 転送用意~!!」

「げへへへ!! よいではないか♪ よいではないか♪!!」


こ、これが女難の相というやつか!! いやだ!! こんな痴女みたいなやつに襲われるのだけは! 断固として拒否する!




――――――――あとがき―――――――


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十字架武器っていいよね!? 最高だよね!!

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20歳”自称”シスターの男、ダンジョン配信者や冒険者に憧れる。~神や女神のお告げを受け日当1万円って安くないですか!?~ @kisisama4

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