第7話



「ところで美紅。これを受け取ってもらえますか」


 昌樹がテーブルの上に、かわいらしくラッピングされた袋を置いた。


「メリークリスマス。いつもありがとう」


「好きだ」と言われたあの日から、昌樹はクリスマスプレゼントを欠かさない。毎年、十二月に入った頃からソワソワしはじめて「最近なにか欲しいものある?」と、わかりやすいリサーチをしてくる。

 本当、不器用でかわいい人。



「ありがとう。私もね、プレゼントがあるの」


 テーブルに置いていた手帳から、そっと一枚の写真を取り出す。

 エコー写真に写る、小さな豆粒のような姿。


「私から、というより、神様から私たちに届いたプレゼントね」


 手に取り、目を見開いてエコー写真を見つめていた昌樹の目から、やがて大粒の涙が零れ落ちた。


「あら、やっぱり碧のパパね。泣き虫なところ似てるわ」


「……ありがとう。美紅。最高のプレゼントだ」


 気遣うようにそっと抱きしめられる温もりを感じながら、この幸せに感謝した。


「これからも、よろしくね」


 そう声をかけた私の肩に顔をうずめ、微かにすすり泣く声が聞こえる。そんな昌樹の頭をそっと撫でながら、色んな歴史を重ねたこの人と、これからも一緒にいたいとあらためて思った。

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これからも、あなたと…… 桜 花音 @ka_sakura

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