第99話 異文化人や増えるスキルのこと

 アールグレイの紅茶を飲んだら、や〜っと落ち着いたメガネが再び騒ぎ出した。


 もう、こいつはいいや。

 メガネは放ってセグさんに話そう。


「悪いなカイ。俺1人で来るんだったよ…」

「いえいえ、お気になさらず。それで俺が話したかった事と聞きたかった事なんですが、まあ…お察し頂いてるかも知れませんが、俺の自身の事を話がしたくて来てもらったんです」

「まどろっこしい聞き方はしないぞ。カイは異文化人なのか?」


 セグさんは真っ直ぐ俺を見てそう聞いた。それを聞いてメガネは俺とセグさんを交互に見返す。


「………多分、そうです。元々ここで生まれた訳でも無く、ある日突然この先の森に立っていたんで。この部屋はその時点で既に持っていました」

「は?!この先の森って……まさかお前『暗檻くらおりの森』のことじゃないよな?!」


 俺的に魔の森と呼んでいたのは『くらおりの森』ってのが正式名称だったのか?

 字面が思い付かないな……蔵織?鞍降り??


「名前は知りませんが、やたらとデカくて強い魔物が多い森でしたね。もう、命からがら逃げ出しましたよ〜」

「いや……あの森はそんな軽く話せる場所じゃないんだぞ?……まあ、とりあえずそれは置いて、先に異文化人の話だ。カイの言う事が本当なら、カイは異文化人の可能性が高いな。それにこの部屋に備えられた調度品や、出て来た食い物や飲み物がそれを物語ってるよ」


 ですよね〜。まあ、だからと言って俺は組合に設置されてた『ニャオン』みたいな交換機は作れません。交換のみは出来ますけども。


「それで……異文化人だと、何か特別な制約や取り決めみたいなものがありますか?」

「いや、そこは俺達と同じと思って大丈夫だ。ただなぁ……場所によっては好き嫌いが分かれる人種なんだよ異文化人は。心象が悪い地域はそもそも出禁の場合もあるぞ」


 ああ……やっぱりやらかした奴がいた!


 『俺は勇者だ!』とか、それっぽいスキルを貰ったら、何かしらが疼いて奇行に走ってしまうやからがいても可怪しくないはずだとは思ってたんだよ。そう言うのはさ、脳内だけに留めるべきなのに!


 あ、スキルの事も聞かなきゃ。他の人も急に成長途中のスキルが生えたりするなら、俺の心配は杞憂で終われるんだ。それなら安心なんだけど。


「出禁の地域に近付く時は気を付けます。あと、スキルの事を聞きたいんですが……スキルって1つです?」

「ああ、1つだな。生まれた時に神より頂く事が出来る物だ。………カイは複数あるのか?」


 う……こんな聞き方したら、そりゃ分かるよな。いやスキルの件は正直に話そう。


「俺も当所は1つだったんですよ。それが知らない内に1つ増え、また1つ増えて今は………ウゲ!」

「何だ?どうかしたのか?!」


 スキルがまた増えてる!!

 何だよこの『料理上手84/100』ってのは!


「………あ〜〜あの………実はスキルが急に増えるんです。今も確認したら1つ増えてて、ちょっと驚いてしまいました。今現在は5つスキルがありますね」

「「5つも?!」」


 2人そろって叫ばれた。


 俺も叫びたいよ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

等価交換でぶらり気ままにボッチ旅 いずいし @isuzu15

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ