紙飛行機と僕

 紙飛行機は飛んで行った。彼女の方へと。

 いつからか自分自身でも覚えていない。

 このむしゃくしゃとした感情に身を任せて、彼女へと紙飛行機を飛ばしていた。


 誰が気づくだろう。

 こんなガキが劣情なんてものを知っているなんて。

 紙飛行機を作って持っていく度見える彼女の顔は優しくて温かくて可愛らしいものだった。


 僕の目覚めは突然のものだった。

 母が勝手に目覚めさせ、父がそれを歪ませ、僕に植え付けた。

 そんな劣情を彼女が背負えるのだろうか。

 押し付けていいものなのだろうか。いつも会うたびに思っていた。


「まだ手を出してないの?」


 母は言う。

 ハエが飛び回っているような声だと思った。


「友達ですらない」


 なんだか悲しい現実を目の当たりにしたようだった。




 ある日児童虐待としてうちに入られる。

 そう、僕はこれからここから出ていかなくてはいけないとなった。


「僕は大丈夫ですから」


 彼女と離れたくない一心で言う。

 何も聞き入れてなんてもらえなかった。

 当然の話だ。僕がガキだからだ。



 彼女の影を追うようになってどれくらい経ったろう。探偵すら使ってしまう僕はやっぱりどこかおかしいようで、どこに行っても悍ましいと言われるばかりだった。




 でももう大丈夫。

「やっと届いた」

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彼の中には怪物がいる 梅里遊櫃 @minlinkanli

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