第33話 くだんの日

アメリカ合衆国 




 ついに運命の日が訪れようとしていた...




 引き続き太陽系内の監視を続けていたチェスター級航宙偵察艦及び艦載機であるSRQ-01ゼノモーフ 航宙無人偵察機が太陽系内に侵入しようとしている大型物体を複数確認...




 全長400kmを超えると思われる超大型物体とそれを守るように30機以上の20km程度の大型物体が隊列を組んで太陽系に侵入...




 その針路から間違いなく地球を目指しているものと予想された。




 幸いなことに連中はこちらの偵察艦を捕捉出来ずにいるようだ...




 ホワイトハウスには大統領以下アメリカ合衆国国防長官、統合参謀本部議長などの人員が招集されていた。




 エリア51の件は最近まで大統領にさえ知らされていなかった情報であるのだがチェスター級が就役し太陽系内に監視網の構築を始めた段階でついにその情報は開示されていたのであった。




 「つまり連中はティーガーデンから飛来した文明で間違いないのだな?」




 「偵察艦が収集した情報をレプティリアン達が残した昆虫人文明の保有する兵器との情報を照らし合わせAIが判断した結果90%連中が用いる艦艇の特徴と一致するようであります。ただサイズは想定よりかなり大きいようで残り10%の確率の相違はその点で...」




 恐らくインセクノイド達もこの距離の遠征は初めて体験することなのだろうとの予想がもたらされていた...つまりあれは連中が作り上げた初の恒星間移民船団というわけだ。




 「連中の意図が明らかであるならば地球へ到達する前に我々の宇宙軍で迎撃すべきではないか?」




「大統領閣下...我が宇宙軍の艦隊は例の戦艦が未完成の現在非常に小規模なものでしかありません、チェスター級の船体を流用して建造された戦闘艦リバティー級は確かにアンドロメダ銀河標準レベルを凌駕するものではありますが...連中の艦隊と比較するとモーターボートのようなものであります。」




 リバティー級航宙戦闘艦、スターフリーゲートはチェスター級に武装を充実させた宇宙戦闘艦として建造されてはいるがあくまでそれは繋ぎとして存在であった...




 いかにアンドロメダ銀河の技術を用いて建造されているとはいえ262ft程度の規模では搭載できる武装はたかが知れており、広大な宇宙空間であれほど大規模なインセクノイド艦隊との艦隊決戦を挑むのは無謀と言うものである。




 ...であるならば敵をこちらのホームグラウンドである地球重力下に誘い込むのが最善との判断をAIは下したのである。




 地球重力下であるならば通常戦力は勿論、対エイリアン用に改良を施した例の兵器群の援護を受けられるのだ...問題は地球を戦場とすれば少なくない犠牲が発生する事であろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アンドロメダ・アタック YDR1 @you_19946

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ