第4話. 「第一章. コンクリ娘」
私は凝り固まった価値観しか持ち合わせていなかったのかもしれない。とはいえ、手帳の表紙に「皇日羽」と書いてあったら日記と思うのが普通ではないか。なんとページをめくった先の物語の主人は皇先輩ではなかったのである。これはどうやら彼の書いた小説であったらしい。ただ一つ引っかかるのは学生時代小説執筆時には必ず彼のペンネーム「高2大生エンゼル」を愛用していたくせに本名を使っていることだが、、。ちなみに大学2年のとき、彼に由来を聞いたことがある。彼はそれまでの人生で「皇 日羽」と本名で書くと百中百発外されてきたのだといった。確かに私は最初これを「スメラギ ニチハ」と読み、ビラロードの路上で渡された部誌(?)で知った「ニチハさん」(妄想では聡明で大人な乙女)とそれを配っていたもさっと眼鏡が同一人物だと気づいてしまった翌々日の新歓では名前詐欺めと恨んだものである。彼は自分の名を初対面に素直に明かすことはまずない。絶対に漢字を見せてなんて読むと思う、と聞いてまず相手を測るのである。「スメラギ」の方はまあある程度の漢字力でどうにかなるのかもしれないが、果たして下の名前を一発で「コウ」と読める人物は果たしてどれだけいるのだろう。「皇 日羽」=「コウ コウ」→「コウ×2」ということで「高2大生」、なんとなくイメージで「エンゼル」を名乗っていたらしい。話を戻そう。つまるところ、ページをめくると「第一章. コンクリ娘」がつづられていたのである。
皇先輩の死因 @rinkoyoake
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