第6話 ツンデレ精霊シルフとチャラ男精霊ノーム

-side ハッカ-



 サラマンダー様の魔法の試験、ウンディーネ様との遊びという長い1日の後に、家に帰るといつもとは違う雰囲気だった。

 風がビュービュー吹いているのだ。

 まるで風の精霊が機嫌悪そうにしているようである。正しくその通りでありそうなので件の精霊様の名前を呼ぶ。


「シルフ様?」

『ん』


 そう唱えると目の前に突風が吹き異変の原因が現れる。

 四大精霊が一シルフ様。銀色の髪にコバルトブルーの目で少年の見た目である。かわいいと言うよりはクールな感じの美少年だ。



「どうしたの?そんな不機嫌そうにして?」

『今日、サラマンダーともウンディーネとも遊んでた……』

「まさか……!?一緒に遊びたかったの?」

『なっ……!別に?」



 シルフ様はプイッとそっぽを向く。

 肌が白いので顔の赤い部分が非常に目立つ肌質だ。照れていることが大変分かりやすい。

 ツンデレなので、素直にはなれないがきっと遊びたかったのだろう。



「えーっと?シルフ様。ごめんさい。誘わなくて……。今日はちょっと疲れているから、また明日遊びませんか?」

『ん……、絶対だからね』



 そういって、シルフ様は当たり前のように俺の家へ入っていく。どうやらそのまま泊まるようだ。

 不器用で口下手なシルフ様だがそこがまた良い。猫みたいに自由に動き回るドライさみたいなものもとても良い。



「ほんっとうに今日は長い1日だったな……」



 明日に備えてしっかり休んでぐっすり寝よう。



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「おはよー、シルフ様……っと?」

『おはよう』

『おはよう、ハッカ。久しぶりだな』



 翌日……なぜか、シルフ様の隣に見知った精霊がいた。

 褐色の肌に白い髪、青い目をしてターバンを巻いたイケメン--ノーム様である。

 昨日に引き続いて、今日も精霊デーらしい。



『せっかく、ハッカと2人で遊ぼうと色々準備してたら、この邪魔者が来た』

『とか言って、本当は俺とも遊びたかったくせに!』

『なっ……!そんな事あるわけないだろ!』



 この二人も不仲と言うわけでは無いがしょっちゅう口論してるイメージがある。

 子供っぽいシルフ様を上手なノーム様が揶揄うような感じである。



「まあまあ、2人とも、とりあえず朝ごはん食べた後何をする?」



 俺は朝食のお肉とお野菜を食べながら2人に聞く。



『そんなはしゃぎたく無い』

『同感、公園で一緒にお昼寝でもしない?』

「わかったー、そうしよう」



 趣味嗜好が似ていて、2人の遊ぶ方向性が同じなため、大体はこの3人で一緒に遊ぶことが多い。仲良し3人組だ。



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



 その後、公園に行って2人と一緒に日向ぼっこをしてのびのびと昨日の疲れを癒している。



「んーー!ちょっと回復した〜」

『そうだね』

『きもち〜ねー』



 ごろごろしていて癒される、癒されるがなんか忘れているような……?



「……って、そうだ!ナビ!」

「やっと気づいてくれたね」



 目の前がピカっと光ったと思ったら、天使がいた。見た目だけはとりあえず、麗しい。



「喋んなかったら良いのに(ボソッ)」

「え?なんか言った」

「んーん?」

「まあいいや!昨日今日の状況は見させてもらったよ!この土地でも上手くやれてるみたいだね!」

「まあね」

「そんな貴方にとっておきの情報が!」



 この天使はこの前からどうしてもとっておきの情報を俺に教えたいらしい。良い加減断るのも面倒だから黙って聞く。



「なんと!この度、君がこの世界の勇者に選ばれたよ!」

「えっ!?嫌なんだけれど」

「は?」



 だって勇者って響きだけで面倒そうだし、このまま伸び伸び生活できればそれで良いかなって。



「待って!君は四大精霊を全て従えた奇跡の存在だし、転生チートも持っている。正直、人間の方にも勇者候補はいたけれど、君の足元にも及ばなかった!だから、君を勇者にと言う声が神界から上がったんだ」

「へー」

「君なら、いつでも魔王を倒せると思うから、ちょちょいって倒してきてよって上司が言ってた!倒せたら人間界では英雄に慣れるからさ、色々な物をもらえると思うよ!そんな感じで、じゃあ、あとはよろしくね〜」



 --ヒュンッ!



 相変わらず、言いたい事をいって去っていった天使。



「聞いてたみんな。面倒だけど、やるしか無いみたい」



 俺は後ろを振り返る。

 すると、四大精霊全てが揃っていた。



『もちろんだ!』

『うん』

『まあ』

「頑張ろ〜』



 その後、なんともゆるい感じでそのまま魔王討伐をする事になり、サクッと出来て、人間界の友人やものが沢山手に入ったのだった。



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                [完結]

[コメント]

この話は一旦ここで完結です!ここまで読んでいただきありがとうございました!

乙女ゲームっぽい話にしたいとキャラ紹介メインのストーリーにしてみたのですがいかがだったでしょうか?

乙女ゲームあるある続編は機会があったら書いてみたいです!


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もしよろしければ他の作品もよろしくお願いいたします。

▷ダンジョン工房〜俺が所属していたブラッククランが爆散して生活が一変したのでシロ市民なモブとしてスローライフを送ります〜

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[完結]メルヘン男子 西園寺わかば @book_hobby

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